今日、お日柄もよく

心浮き立つ遊びがしたい

アナスタシア② 開幕までのディスタンス(3/10マチネ)

さていよいよ観劇編である。当初持っていたチケットの内訳は以下の通り。

 3/1ソワレ(葵・海宝)初日

 3/10マチネ(木下・海宝)

 3/13マチネ(木下・海宝)

 3/28マチネ(木下・内海)千秋楽

ところが、新型コロナの影響でとにかく一向に幕が上がらない。予てからの懸念通り1日~8日の公演が中止になってしまい、毎日公式TwitterやHPを見てはそわそわしたり落ち込んだりする日々。演者さんたちのツイートを見て、一番じりじりしてるのは当人たちだし、みんな同じ気持ちなんだなぁ…と思っていた。

本当に再開するのか、このままもう観られなくなるんじゃないかと悲観的になっていたが、遂に迎えたマイ初日!きっとカンパニーの中でも様々な葛藤があったと思う。いち観客から言えるのはありがとうございますだけだなぁ。なお、オーブはサーモグラフィーありのアルコール消毒ありで、衛生管理が徹底されてました。

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このボードを見てこんなに嬉しかったことはない…。

 

ストーリーはこんな感じ。(以下公式HPから抜粋)

舞台は20世紀初頭、帝政末期のロシア、サンクトペテルブルクロシア帝国皇帝ニコライ2世の末娘として生まれたアナスタシアは、パリへ移り住み離ればなれになってしまった祖母マリア皇太后から貰ったオルゴールを宝物に、家族と幸せに暮らしていたが、突如ボリシェビキ(後のソ連共産党)の攻撃を受け、一家は滅びてしまう。

しかし、街中ではアナスタシアの生存を噂する声がまことしやかに広がっていた。パリに住むマリア皇太后は、アナスタシアを探すため多額の賞金を懸ける。それを聞いた二人の詐欺師ディミトリとヴラドは、アナスタシアによく似た少女アーニャを利用し、賞金をだまし取ろうと企て、アーニャと三人でマリア皇太后の住むパリへと旅立つ。

記憶喪失だったアーニャは次第に昔の記憶を取り戻してゆく…
同じ頃、ロシア政府はボリシェビキ将官グレブにアナスタシアの暗殺命令を下す。マリア皇太后に仕えるリリーの協力を得て、ついにアーニャはマリア皇太后と会う機会を得るが、グレブがアーニャを見つけ出し…

それでは感想に参ります。もうめちゃくちゃにネタバレします。よろしく。

 

・海宝ディミトリ

もうなんか舞台の上で動いてるだけで嬉しかった。基本オペラはこの人をロックオン。とはいってもアナスタシアの魅力は舞台機構にあるので、どっちも見られず悔しいという贅沢な悩み。序盤の見せ場こと念願の"My Petersburg"は、内心きたぁ~っと叫びながら心して聞いた。言うまでもなくいいお声…。「来いよ、アーニャ!」が聞けて大満足です。最後の高音の伸びがやっぱり素晴らしくて、盛大に拍手。この場面の、たぶん夕方でピンク~紫のグラデーションの光に包まれるレニングラードは本当に綺麗。2分半しかないから、あっという間に終わってしまう~。余談だけど、カーテンコールでのアレンジも好きです。

トリプルキャストの中では一番ロイヤルお貴族みがあるんじゃない?なんて思っていたが、彼もまた立派なロシアのネズミだった。ただ、アニメのディミトリは序盤わりと嫌な奴なのに比べ、海宝ディミトリはあまり悪人感がない。孤児だし詐欺師だし、確かに強かではあるんだけど、まっすぐな感じが伝わってきた。パンフレットのインタビューでも、全員からまっすぐって言われてたな…。

このディミトリという役、個人的には推しが演じてくれたら大感謝かつ大勝利だと思う。TLで「推しがディミトリは恋」って言われてたけど、本当にそれ。全く関係ないけど、木村達成ディミトリとかすごそう。ちなみに、パンフレットでこそ「逆境を生き抜いてきた孤児」となっているが、最初のフライヤーでは「若くてハンサム」という身もふたもない紹介だったのが忘れられない。確かにやたら作中で顔を褒められているけど、せめて「詐欺師」を…。

特に好きだったのが、2幕でアーニャが悪夢を観るシーン。駆け込んできたディミトリと過去を振り返りつつ "In A Crowd Of Thousands" を歌う場面なんだけど、デュエット中にお互いを見る目が優しくて…。見つめ合ってからの「…皇女様」をもう1回観たいよ~!!ちなみにこのシーンの髪を下ろしたアーニャは、作中いちばんかわいい。

列車の中でのびのびと歌う ”We'll Go From There” も楽しかったし、オペラ座でドレスアップしたアーニャに見とれる姿は、BW版で観たやつだ~!!!と嬉しかった。パンフに乗ってて眼福。オペラ座は、4重奏の驚きの美声(おかげでバレエは全く観られず笑)や、アーニャ待ちのそわそわディミトリなどかわいいシーンの連発。

よくよく考えると、初の生海宝さんである。これからもっと観に行きたいな~。

 

・木下アーニャ

ファントム以来2回目の晴香ちゃん。初日だったからか序盤固いな~と思うところもあったのだけど、徐々に声が伸びていって素敵だった。一幕最後の" Journey To The Past" はさすがに説得力のある歌声。ここも引きになるパリの街とアーニャの表情どっちも観れなくて悔しいポイントである。

序盤、詐欺師コンビとの出会いがちょっと唐突に感じたのがもったいなかった。アニメだと「出国したいならディミトリに頼みな」みたいな会話があった気がする。犬がいないから、宮殿にやってくる理由がいるのはわかるんだけど。

彼女からは、ロシアを歩いて横断して来たというトンデモ設定にわりと信ぴょう性がある強さを感じた。"My Petersburg"  直前の酔っ払いとのけんかシーンでは、圧倒的に海宝ディミトリより強かったし。正直海宝ディミトリが弱すぎるという説もある。

また事前に扮装ビジュアルがアップされなかったので、楽しみにしていた衣装を見るのにも忙しかった。パリに着くまでは基本同じ茶色の衣装なんだけど、”Learn To Do It” では室内だからか上着を脱いでいて、中の白い刺繍ブラウスがかわいかった。手持ちの服でなんちゃってアーニャはやりやすそうだな~。ここのお辞儀が、表情も動作も凛としてエレガントだった。

よく分からなかったのが、パリで皇太后に拒絶されディミトリに怒りをぶつけるシーン。記憶を取り戻して、自分は本物だという自覚があるからこそ、詐欺師って言われたのがショックだったと思うんだけど、序盤は一緒に伯母さんの名前を覚えたりしてたじゃん?それとも、さすがに報奨金の話がショックだったのかな?正解が知りたい…。

終盤グレブと対峙する際は、ディミトリが助けに来るのではなく、アーニャ自身の言葉と迫力で勝つのがよかった。タイトルロールだし決着は自分でつけないと。動きが少ないので、アーニャの役者の説得力が必要な場面だと思う。

ラストのトランクを使ったキスシーンは本当にベタだけど…そこが好き!!「ディマ!」と呼んで、笑顔で駆け寄って、トランクに乗って同じ目線になって自分から。往来であの衣装ははちゃめちゃに目立つと思うけど、それは言わないお約束。最後まで台詞なしで、オルゴールの人形のような演出が素敵だった。

 

・大澄ウラド

CDを聴いて思っていたより、だいぶ出番が多かった!そしてかわいかった!”We'll Go From There” は独壇場だと思う。全体的にダンスがすっごいキレキレでチャーミング。アドリブっぽい台詞もあった気がする。(アナスタシアは全体的にアドリブ少ないイメージ)

でもさすが詐欺師というか、良くも悪くも大人というか、最後まで「いい人」ではないと思う。ディミトリとアーニャのロマンスも、決して良く思っていなさそうな。(英語だと、失敗した~的なニュアンスのはず)そのぶん映画より生身の人間感があった気がする。つくづくコンビを組んだなれそめが気になるな。ラスト以降はリリーとパリで暮らすんだろうけど、ディミトリを懐かしんだりするのかな?決して悪い人じゃないんだけど…彼はクズです笑

大澄さんはTwitterの更新が多くてありがたかったな~。あと、宝塚ではずんちゃんがやるのかな?どんな感じになるんだろうと思った覚えがある。

※5/12(火)追記

訳者さんのツイートがあった!やっぱり「やっちゃった~」だったんだな。

 

マルシアリリー

”Land Of Yesterday” 最高だった。ドスの効いた声が必要だし、作中屈指の難しい曲では?個人的にリリー役の女優さんは全員お初だったので、最初見分けるのに苦労した。ハンカチの落とし方とか細かなところで差があったみたいなので、もっとよく見たかった。目が足りないよ~!!

太后のことが大好きで、尊敬しているところがぶれないキャラクター。ウラドとの対比っぽくてよかった。記者会見の歌も好き。こちらも宝塚でやるなら舞咲りんさん!と思ったけど、組も違うし退団されるってば。宙組だと誰なんだろう?教えて詳しい人。

 

・堂珍グレブ

アニメ版の敵役ラスプーチン(邪悪な魔法使い)からチェンジした役。結構難しいキャラクターだと思う。完全に悪人というわけでもなく、でも任務に縛られているから善人ではない。ちょっと融通が利かなくて若干アホなところ、ジャベールというよりショーヴランっぽいかも?チケットをたまたま拾ったり、結構ラッキーに助けられてる印象。というより、脚本の甘いところがこの人に集中しちゃったのかしら。記者会見の時もどっから忍び込んで来たんだよ、と思っちゃったし。まぁこの人が冷徹で有能だと、すぐ話が終わっちゃうんだけど。ちなみに登場シーンはすごくカッコいい。手をバッ!と動かすと、一瞬でレニングラードの街が現れる!

アーニャとは街で少し喋っただけなのに、やけに執着するし優しくするから、一目惚れしたのかな?と思ってしまう。任務のためにハニートラップとか絶対できなさそうな堅物感ゆえに。

グレブの父親がロマノフ家暗殺に関わったくだりや、少年グレブのトラウマや屈折は、英語版の歌詞をきちんと読んだ方が読み解けそう。Twitterで考察してる方がいて、とてもおもしろかった。
ラスプーチンは最後ディミトリと相対するけど、グレブはほぼ対面しない(冒頭のレニングラードはノーカン)。なんなら会話もない。オペラ座で謎デュエットするので、少しくらい喋っても?とは思いつつ、あくまでアーニャを通じて対称的な2人ってことなんだろうか。実際対決したら、丸腰のディミトリが撃たれて死んで終わっちゃいそうだな。

最後もアーニャを殺せず終わるので、こいつ国に帰ったら消されるのではと心配になってしまった。同士、ちゃんと長い人生歩める…?

将校との電話のシーンで、出るタイミングをミスっていたらしいのだけど、あんまり気づかなかった。

 

・麻美皇太后

お歌がアレという前評判をTwitterで見ていたので、初見の人よりはショックが少なかったと思う。声がところどころ途切れるので非常に惜しい。冒頭、この方の歌から始まるからね…。リトルアナスタシアがいないと歌詞の読解が厳しいよ。

でもお芝居は大好き!ディミトリにドレスの裾を踏んづけられた時、杖でさっと払って直す仕草が本物っぽくて気品を感じた。落ちぶれて、でも高貴さは損なわれておらず誇り高くて、ただその誇りも時代の遺物だから、パリではどこまで通用するのか…という難しい役どころに説得力があった。自分の権力の衰えにも自覚はあるけど変えない頑固さがあるというか。「気づかいは贅沢品」みたいな台詞がよかったんだけど思い出せない。アーニャとの問答は総じて迫力を感じた。実質あそこがラストシーンみたいなものだよなぁ。

 

初回はプリンシパルを観るのに精一杯で、アンサンブルまで目が行き届かなかった。次は、評判の良いバレエシーンをよく観るぞ~!
梅芸にお金を落としたい気持ちでいっぱいになり、パンフレットとクリアファイルとトートを購入。トートはロゴだけなのさすがにシンプル過ぎやしないか?舞台の幕がとてもかわいかったので、あのエッフェル塔クレムリンくらいついてても良かったと思う。

それにしてもグッズが少なくて悲しい。もう舞台写真のパンフレットしか買うものがない。売れる見込みがないと思われたのか、中国生産が間に合わなかったのか。ロミジュリみたいに舞台写真を売ってほしかった。
鼻息も荒くパンフレットを読んだら、やっぱり相葉ディミトリも気になってしまった。うーんこれはまずい…まずいなぁ…はは…という諦めの境地で次回に続きます。

 

【お焚き上げ】観劇直後書きなぐった感想も記録として。とにかくテンションが高い。

海宝さんのコンサートをWOWOWで観て、My 
Petersburgを聴いて、曲が好みすぎて観ることを決意したアナスタシア。 
ブロードウェイ版音源を何度も聴いてアニメも観て、メチャクチャ期待が高まっていたアナスタシア。 
コロナのせいで幻になるかもしれなかった日本初演。幸いにして観ることができました。感謝…!

 

海宝ディミトリ。優勝。声いい顔いい演技いい。3人の中ではわりと貴族みあるんじゃない??などと思っていたが完全にロシアのネズミでした。 
なんだろう、あまり悪人感がないんだよね。ディミトリは悪役ではないんだけどね。強かそうだけど真っ直ぐな感じが伝わってきました。 
アニメで建物の外で敬礼するシーン好きだったからやってほしかったなぁ。 

列車の中でもどこでも声が通る通る。たぶん健康にいい声。CD聴いたより、歌の出番多かった印象です。 

アーニャが悪夢を観て、ディミトリが駆け込んで来てからの一連のシーン、俺は今マブイものを観ている…鬼ヤベェ…!と突然語彙力がヤンキーになってしまった。 
あそこの髪下ろしてるアーニャ、かわいかったな!!髪型の中で一番好き。あ~~デュエットもサイコーだったな! 

 

タイトルロールのアーニャもよかった。優勝。ロシアを歩いて移動するってヤバない?!メソメソしないのがいい。護身術の心得のあるところが見られてよかったです。やったれ!!! 
個人的に登場シーンが意外だった。もっと「ディミトリは何でも屋!!」みたいな描写欲しかったかも? 
木下晴香ちゃん、ファントムに続いて2回目。歌うまいし、最初はちょっと詰まってたとこもあったけどどんどん声が伸びやかになっていった!アーニャの衣装本当に全部似合うなぁ。強気なところもいいよ~~。やっぱり過去への旅は最高。背景もよかった!!! 
アーニャがディミトリに騙された!って怒るところ、最初から詐欺とは言ってなかったんだっけ…??報償金は知らなかったってことだったっけ…?もう一度観たら分かるかな。 
最後のトランクを使ったキスシーン、「ディマ!」って言った後の笑顔よ…(泣いた) 

 

あとアーニャはグレブとそこそこ絡みがあってびっくり。どこまでもグレブの一人芝居感あったけど…。街で見かけただけなのにやけにご執心と言うか(それは言うたらアカン)。最後も撃たないからあっさり。でもあそこでディミトリが助けに来たりせず、アーニャが迫力と台詞で圧倒する終わり方はよかったな。てかディミトリとグレブ、謎デュエットするくらいだしちょっとくらい牽制しあうシーンあってもと思ったけど、立場違いすぎるからないか。アニメのラスプーチンばりにバトって頂いてもよかったけどすーぐディミトリ撃たれそうだもんな(ケンカは弱そう)。堂珍さんは歌に安定感がありましたね。こっちも悪くなさそうだったな。あまりにいい人みがあったから、もっと怖くしてもよかったよー。彼もまたロシアの犠牲者。 

 

ウラドもリリーも実力派だった~~。メチャクチャ発音よかった、ってミュージカル俳優さんに言うのおかしいけど、すごく聴きやすかった。初めましての役者さんだから、もっと知ろう。マルシアさんは過去の国で完全に空気を持ってかれたし、大澄さんは列車のシーンが大好き!おじいちゃん(って年か?)が元気に踊るのがかわいい! 

 

そしておばあさま。歌は正直ひどかった!ごめんなさいでもあれはあかんて。22年ぶり…。ところがお芝居になるともう本当に皇太后にしか見えないんだなぁ。アーニャと口論するシーンは間が話せませんでした。本当に感情がこもっていてドキドキした。皆が褒めるのもよっくわかった。舞台を締めてた。 

 

舞台装置と衣装は本当に本当に豪華ですてきで、公演中止になった分少しでも梅芸にお金が入れ~~と思ってグッズ全部買いました。アンケートにも書いたけど後日追加で通販とかしてくれると嬉しいな。バッグは買ったけどシンプルすぎるやろ。幕に描いてあったイラストでもつけてくれあれかわいかったから。あと音源と映像ください本当に欲しい。記憶にとどめておけない。 

パンフレットは我慢できずに開演前に観た。ディミトリーズ、個性出るなあ。役にあってるのはやはり内海くんな気がします。口角上げてニヤッてした感じ。やっぱりディミトリは最初悪い顔してないとね!!!後で更正したときとのギャップがね!!あ~~チケット~~買うしかないのか~~。たぶん追加するな。いつ観に行くんだよ。 

 

あ~~書いた書いた。でもまた思い出すことはたくさんあるだろうし、まだ何回か観る予定だから、細部の解釈も楽しんでいきたいな。 

とりあえず本当に初演開幕してくれてありがとう!!!! 
健康に気を付けてまた観に行きます!