今日、お日柄もよく

心浮き立つ遊びがしたい

違いを楽しめ!宙組アナスタシア①

明日は宙組アナスタシア大千秋楽!!!!もっと早く書き上げる予定だったけど、ギリ公演中に間に合ったからヨシ!

最初に断っておくと、総じて私は梅芸版アナスタシアのオタクです。いつだって再演をお待ち申し上げている。だけど宝塚も大好きなので、いい感じにやってくれ~!と思っていたら安心と信頼のクオリティですごくいい感じになってました。サンキュー宝塚!!!ありがとう稲葉先生!

せっかくどちらの公演も観ることができたので、違っている点などを挙げて語ってみたいと思います。というか、どうしても梅芸はこうだったな~と考えてしまうので…。宝塚は円盤も出るしいくらでもリピートできるけど、梅芸はそういうわけにも行かず。なんかどんどん記憶が薄れてくるのが悲しくて…。

梅芸4回、宝塚6回観ましたが、それでもうろ覚えなところがあるので、間違ってたらご指摘頂けると嬉しいです~!!!

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ロシアの幕。白鳥。厳かな雰囲気がありますね。

Introduction①王宮の小さな寝室

ファンファーレに合わせて、スクリーンには本が浮かび上がる…。宝塚オリジナルの演出です。薄い幕が上がるとそこにはみねりちゃん~~~!!!すっしぃさん~~~!!!2人が座っているのは梅芸版だとソファーみたいな長椅子だったけど、完璧ベッドですね。みねりちゃんがベッドから足が出ないようにして子供身長を表しているという感想を見て、そういう細部に気づきたいものだと思いました。「私は大皇女アナスタシア・ニコラエヴナ・ロマノフよ!」の言い方とニコニコ笑顔が好きです。宝塚版は「大」皇女にこだわっている様子。

太后がアナスタシアをお気に入りな理由が、かわいいからとかじゃなく「強く、何者も恐れない」なのがいいな。プリンセスってのは強くないとね!!

マリア皇太后の衣装は紫メインではなく薄いクリーム色。パリでアーニャが着るドレスとなんとなーく似ているような。あと、梅芸はLEDで窓に割と明るめの夜空が映っているけど、宝塚は普通に暗かったですね。このせいか結構印象が違う。

Introduction②舞踏会

梅芸版では別の女優さんがアーニャを演じていましたが、お父さんとのダンスの途中みねりちゃんが後方に全力ダッシュでまどかちゃんとチェンジ。アーニャ=アナスタシアをにごす気は全くない。まぁぼかさなくてもお察しなところではありますが。

娘役さんがたくさんの華やかな場面ですが、私の視線はららちゃんアレクセイに釘付け…。びっくりするほどかわいい!!!!!丸くて小さい頭がたまりません。あときれいな鼻筋。横顔天才か?最初膝ついてるのは弟の小ささを表すため?お姉さんたちに混じって踊ってばったり転ぶのは、血友病で病弱だったことを示しているのかな。

梅芸版のボリシェヴィキは映像のみでしたが、宝塚ではボリシェヴィキたちが踊りながらなだれ込んできます。おびえるロマノフ一家の芝居が細かくて、ついついそちらに気を取られがち。アレクセイは潤花ちゃんのマリアとよく絡んでいたような。「坊やって呼ばないで!」ってぷんすかしていた回があったらしい。聞きたかった~!!そういう会話ってやっぱりSS席でしか聞こえないのかなぁ・・・。

混乱の中オルゴールを取りに来たアナスタシアを、1人のボリシェヴィキが横向きに抱き止める形で暗転。この人がグレブの父なんじゃないのかという考察をTwitterでよく見かけました。確かにそれだと、グレブ父がアーニャを逃がしたのでは説や、そもそも皇帝一家暗殺を恥じて自殺した(?)理由づけにもなるような。梅芸版では1人で手を伸ばして暗転だったので、ポーズ自体は同じ。花道から皇太后とリリーが出てきて、皇帝一家が皆殺しにされたことを嘆いてすぐ引っ込みます。その頃スクリーン上ではロマノフ家の家族写真が燃え尽きていく…。これも宝塚オリジナル演出。

第1場A プロローグ(動乱)

これこれ!この最初に一踊り入れるのが宝塚って感じ。曲は流れるネヴァ河のアレンジですね。薄暗かったので、正直群衆の皆さんはあまり見分けがつかず…。複数回を重ねたらあきもさんはわかるようになりました。そして銀橋から出てくる真風さん。初回は全く気づけず、2回目以降はひたすらオケピをガン見していました。注目しておくと、よいしょっと上ってくるお姿がわりとよく見える。この時は帽子をかぶっているためか少年ぽく見えますね。

梅芸版だと詐欺師であってもあまり泥棒ぽくなかったディミトリだが、まかトリはめちゃめちゃ財布をスッている。これは悪い。仲間たちとわちゃわちゃしていると、ずんちゃんウラドが逃げてきて、なぜかウラドとあきもさんを入れ替えて助けてやる。後々「柄にもないことしちゃったよ」と語っている通り、結構かつかつな暮らしをしてそうなディミトリがわざわざ助けてあげたのはイレギュラーだったんだと思う。でもその後悪友たちを差し置いてウラドとコンビを組んでいるから、何かびびっとくるものがあったのかな?哀れ悪友!とにかく2人の馴れ初めが描かれたことで、ユスポフ宮殿でのセリフが説明だけにならないから、ここはいい追加シーンだったんじゃないかと!

ちなみにアナスタシアを観ているうちに、秋音光さんの顔面が完全に好みということが発覚しました。あきもさんあまりに美少年。ボリシェヴィキに布を取られた後、違いますけど?としれっとしてる顔が良い。掴まれているあごがシャープ!もともとイェンの時から気になっていたんですが、つくづく少年顔が好きだな私。

第1場B ネフスキー大通り

キキちゃ~ん!(一斉に上がるオペグラ)軍服がよくお似合いで…。梅芸だとグレブが手を振ったタイミングでLED背景がパッと切り替わってレニングラードになりますが、さすがにそこは手動だった。パンフレットの解説で「グレブの演説を聞いているものは誰もいない」って書かれてるのちょっとかわいそう。若いから威厳が足りないのか?

アナスタシアの脚本の弱いところが集中しているキャラことグレブさんですが、キキグレブは梅芸キャストに比べて若々しい。「どうして急いでるの」と、口調も若干柔らか。悩み多き青年将校~って感じの役作りで、アーニャへの恋心と任務の狭間で揺れてても違和感がない。パンフレットに記載があったけど、ご本人も一目惚れ設定で演じてらっしゃるそう。あの短期間で一目惚れってことは、①シンプルに顔が好み②自分になびかないところが良かったの…?仕事を理由に速攻立ち去られているのに「私は毎日ここにいるから!」と呼び掛ける様がちょっと不憫。そんなこと言われたら来ないって。

というか、梅芸版グレブがイマイチ何がしたいのかわからないんですよね…。どう見てもアーニャよりそこそこ年上なので、恋心とも一概に言えず。かといって父の果たせなかった任務の相手にしては、なんか個人的な思い入れが見えすぎるっていうか。キャリアも長そうで汚い仕事もある程度やってきたんだろうなと思わせるので、もう少し掘り下げが欲しいんだよな~。

場面の感想に戻りますが、宙組さんってまじでコーラスうまいですね。コーラスの宙組とかほんとかよ、と思っていた過去の自分を殴りたい。他人とタコ部屋でぎゅうぎゅう詰め~♪とか、すごく歌詞が聞き取りやすくてノンストレス!

人数の多さを生かした演出も良し。ディミトリを囲んでぐるぐる回ったり、銀橋の上に役者が勢揃いするのはやっぱり迫力がある!次オーブでやる時はいっそ客席降りとかしたらいいんじゃないかと思ったけど、人数足りないかなぁ。なお、まかトリさんは緑のコートにお召し替え。いっきに青年みが増します。

第2場 ユスポフ宮殿の劇場

街の男に「出国許可証が欲しいならディミトリのところに言ってみな(ニュアンス)」と言われ、「ユスポフ宮殿…ディミトリ…!」と呟いて花道を走り去るアーニャ。全体的にまどかアーニャは動きがパワフル。ここも良い追加シーン。梅芸だと突然アーニャが部屋に入ってくるので、ちょっと雑かなと思ってました。それにしても、神々の土地のオタクにユスポフ宮殿という言葉はよく刺さりますね。また…会うのかな…(吐血)

まどーにゃの髪型と衣装は、梅芸(BW)とはまたちょっと系統が違う。おでこ出しと茶色の服のトーンは似てるんだけど。髪型はまどかちゃんのほうがかわいいかな~。梅芸はコートを脱ぐとブラウスとスカート姿になるけど、下はワンピースでしたね。

偽アナスタシアオーディションは、噛み煙草を吐き出す勢いが強すぎて笑った。役が少ないから、こういうところで芝居力を見せていかないといけないんだろうな。

真風さんのための新曲She walks inはここで披露。オリジナル曲を作ってもらえたり、演出も結構変えられたり、すごいことのような気がするけど普通にあることなのかな?まるでバイオリンが突然~♪で本当にバイオリンの旋律が入ってくるところが好きです。あと「空を覆う雲が 消え去り晴れて光るように」のメロディーがとてもドラマチック。これ梅芸にも逆輸入したらいいと思うな。梅芸ディミトリーズにもぜひ歌って欲しい!

ディミトリが「アナスタシアを探すためなら、シベリアだって行く」とまで執着強めなのは、歌詞のとおり久々のでかいもうけ話だからだってことでいいんですよね?別にアナスタシア連れじゃなくても国外脱出はできるけど、出た後の食いぶちがないから?情勢は不安定でも今までロシアでやってこられたなら、無理に国外に出なくてもいいんじゃと思ってしまうので、なんで出たいのかもう少し台詞を追加して欲しい~。あ、でもShe walks inでアナスタシアへの憧憬を表しているってことで説明付くのかなぁ。

アーニャとディミトリのファーストインプレッションは梅芸に負けず劣らず最悪。でも「水とチーズをひとかけ!」って言われて割とでかいチーズを複数持ってきてくれるまかトリは優しい。なおガツガツした食べ方は、梅芸アーニャたちより激しい笑 

まかトリの「アタマおかしいよ」は、直前の「パーリだあー!」のために、いやお前さんの言い方もなかなかトンチキやで…と思っていましたが、なんとペルミからペテルブルグまでって東京から宮古島までと同じ距離らしい。Twitterには有益な情報が転がっている。確かにその距離を徒歩で踏破したと主張されたらヤバいやつだなとは思っちゃいますね。というかその設定は盛り過ぎじゃないか?!よく無事だったねアーニャ…。

まどかちゃんって歌姫タイプではないけど、高音がよく出て聞き取りやすい声だなぁ。宮殿を幻視しているお芝居の表情が好き。

第3場 政府事務所

アルバイトのみねりちゃんを目で追ってました。腰が、腰が細すぎる。あと潤花ちゃんもつい目に入ってくるんだけど、もしかして宝塚と東京でかつらが変わってませんか?宝塚のウェーブショートが好きだったな~。それにしてもせっかく椅子と机を持ってきたのにすぐ持って帰っちゃうのおかしい。ここ梅芸だとどうなってたかな~。

アナスタシアオーディションのお姉さんたち、ハンサムじゃなかったら通報してるって言ってたのに結局通報してるじゃん!!よほどコケにされたのが悔しかったのか。この辺が、知り合いにしてはドライだなあと。通報してもお金にはならなさそうだけど、混乱期のロシアは密告が常だったことを表現してるのかな。

第4場 ユスポフ宮殿

みんな大好きLearn to do itタイム。「皇太后が私を詐欺師って言ったら?」の台詞、やっぱりアーニャもこれって詐欺かも…って意識があったのかなぁ。だとすると、ディミトリを後で責めるのはどうなんだ。

まどかちゃんのバチコンウィンクがとってもかわいい!娘役のウィンクを浴びることでしか摂取できない特殊な栄養素がある。あと梅芸と違って、野郎どもではなく自分でハッ!て掛け声を入れるのもいいな。しかし早口言葉のところは、誰が歌ってても噛まないかやっぱりドキドキしてしまう。

その前にダンスを~♪で2人が踊るシーンはだいぶ変わっていた。梅芸ではディミトリが(たぶん)うっかり足を踏み、怒ったアーニャが思いきり踏み返して一触即発の雰囲気になるところ(グレブが「アーニャ~」と仲裁する)。あれ、順番逆だったかも?でもまどかアーニャは転んでも素直に謝るし、なんならえへへって汗かいてる感じだし、まかトリは足を踏まれても「~っ!…(はぁやれやれ)」って許してあげる。2人ともかなり丸くなっている!!というか、まかトリが大人。ここはトップスターをかっこよく見せるための改変なのかなぁ。黒板に頭をぶつけたりもしなかったし…。ダンスシーンは2人が楽しそうで、観ていて幸せ。

「私ができれば♪」のまどかアーニャの声が思ったより低くてびっくり。裾をつまんでぴょんぴょんする姿がかわいい!!!!後ろで鳴ってるのはピッコロ的な楽器なんだろうか。アーニャはとにかく元気でへこたれないのがいい。

「ロシア語で話せよ!平民のために」の後、ディミトリがコートを羽織って「ありったけの残り物を売りさばく。もしくはそこらじゅうの人のポケットから頂いてもいい…」と一人ごちて出ていくシーンが追加されてます。まぁ確かに2人ともお世辞にもお金持ってなさそうだもんね。今まではかなりその日暮らしだったのかな。ところでウラドはスリはしないのね。詐欺専門なのか。

第5場A ネフスキー大通り 

宝塚版の追加シーン。ペテルブルグの噂のアレンジに合わせ、ディミトリが夜の街で決意のスリ行為を働きまくる!夢を叶えるには金がいる、ってまぁその通りなんだけど、あんたキリリとした顔でやってることは犯罪だよ!!!!と毎回思ってしまう。やればできるのフレーズをここで使うのはどうかなぁ?でも、梅芸に比べて悪だせアピールにはなるかなぁ。

「あんな良い女優を手に入れたんだ!」のセリフは、この時はアーニャを駒としか見ていないことを示すのによかったと思うので、梅芸再演の折はどこかに入れてほしい~。

第5場B 政府事務所

キキちゃんのアドリブシーン。私が観たときはシェー!、刀が刺さって苦しむ姿、親指取れちゃった、肩外れちゃった、東京宝塚劇場公演のチケットを電話予約などでした。どんだけ変なことをしても笑わないまどかちゃんと部下、ウケないとなるとスンッと押し黙ってシリアスに移行するキキちゃん、大変だろうな。梅芸グレブたちは笑っていいのかよくわからん小ボケだったので、振り切って笑いを取りに行く方が分かりやすくていいのかな?世界観を壊さない程度にお願いします。

流れるネヴァ河は声量豊かで良い…んだけど、やっぱりグレブ父とグレブの気持ちが分かりにくい。父はボリシェヴィキとして皇帝一家銃殺の命を受けた。そして実行したが、己を恥じて死んだ。つまり自殺?もともとは皇族を守る側だったのに、裏切ったのが耐えられなかったのかな。それとも、良心の呵責でアナスタシアだけを見逃してしまったことを恥じた?その辺もう少し説明してくれ~。

少年グレブは銃声を聞いた。直接見てはいないけど殺害現場の近くにいたから生き残りはいないと思っていて、偽アナスタシアが許せない。単に現体制下で皇族が生きていたら困るし、父の仕事が不完全だと思われたくないから…と解釈しました。後のシーンで「父の仕事を完遂させろ」みたいなことを言われているので、グレブ父の死は上層部には知れ渡っているけど、その息子と言われつつ実力でのしあがって来たのかな~。

アナスタシア脚本の良くないところはセリフを途中で切りがちなところなんですが、グレブも君の瞳は…って言いかけたなら、最後まで言ってほしい!!!なんなんだ、ロマノフ朝独自の青い瞳だとでも言うのか。少なくとも日本の観客には…わからない!勉強するけど!!

そして「君は私の運命か」は邂逅2回目とは思えぬ激重セリフだが、全くアーニャに伝わらないのがかわいそう。怖がられてるより嫌われてる感じが半端ない。一応内心で大葛藤しているのだから、もうちょい自分の気持ちを吐露してほしいところである。守りたいの?消したいの?

第6場 ネヴァ湖畔の公園

酔っぱらいたちの歌詞が宝塚版でようやく聞き取れた~!「ロマノフは死に絶えた 今はウォッカ飲んでるさ 地獄で!(爆笑)」ね!めちゃくちゃひどい!まぁでも「ロマノフは全てを与えられ、何も与えなかった」から庶民からしたらついにくたばったぜ~!となってもむべなるかな。グレブは「ロマノフは潰えた」って歌うけど、酔っぱらいは下品な言葉遣いってことなの?しかしべろべろでもあきもさんは素敵だ。

海宝ディミトリがよわよわだったことはつとに有名(局所的に)でしたが、まかトリはさすがの身のこなし!正直イケメンが隠せない。よっ!ペテルブルグのプリンス!伊達に戦い慣れしてません。なおまどかアーニャは想像通り強い。当時のロシアで女性の一人旅ってリアリティーがあるのかわからないけど、ものすごく危険なはずだから強くならざるを得ないよね。

アーニャが振り回していた棒は、ディミトリが受け取って火にくべるのではなくその辺のベンチ脇に放置。曲に入る前の「誰があなたを育てたの?」への答えは「誰も!勝手にでかくなった!」から「ずっと一人でやってきた」へ変更。やはり少年ぽさより青年ぽさが増している。まぁ確かに設定は30ちょい前くらいのはずだから青年でいいっちゃいいんだけどね。

ここは作中一番好きな場面なのですが、ちょっと期待値が高すぎたかも…。いや曲は変わらずいいんですが。そしてディミトリをキラキラした目で見つめるアーニャはとってもかわいいんですが。空の色がピンク~紫なのはやめちゃったのね。梅芸版ではパンフレット表紙にもなってたし、象徴的な色だなと思ってたんだけど。いくら夕方~夜とはいえ、宝塚版はなんか暗いよ!そしてMypeterburgの高音ロングトーンはないのか~!聞きたかった…!真風さん出そうとすれば普通に出るんじゃないか??なぜやめた?あと、この曲めちゃくちゃ好きなので、いつか贔屓に戯れに歌ってみて欲しい…。無理だと思うけど頼んます…。

梅芸との相違としては「ようこそ俺のペテルブルグへ!」の台詞が追加され、最後アーニャが鞄を渡してあげる演出はなくなってたかな。

宝塚版だと後ろでカップルたちが踊ってくれるから目が足りない。みねりちゃんが出てくるので嬉しい。でも正直2人だけの場面にしておいて欲しかったかも。だって恐らく2人が初めてお互いの過去を思い合って、心が通い始める場面じゃないっすか…。「私たち2人とも、家族がいないって訳ね」「君はまだわからないだろ」のくだり、確実に今までとはテンションが違うもんね。

第7場 ネヴァ湖畔

君の家族のことをもっと教えて、と促されて喋り始めるも、突然「あなたが思うほど私は強くないわ!」と叫ぶアーニャ。ここはちょっと唐突に感じる。彼女自身は切れ切れの記憶はあるものの、恐らくまだ自分を完全にアナスタシアだとは信じきれていない。まぁそりゃそうだ。自分でもパリで誰かが私を待ってる、きっと思い出すいつかって歌ったり、詐欺師2人には君は本物!思い出せるよ!と言われたり、グレブに「君の目は…」とか限りなく匂わされてはいるものの確証はない。辛いだろうな~とは思うものの、ちょっと説明が欲しい。「私は本当にアナスタシアなの?わからない!自信がないの」とか?

ご褒美のオルゴールを渡される時、梅芸では最初手のひらをグーにして差し出してディミトリがやれやれ強情だな…ってなっていた気がするけど、記憶の捏造かも。遠い12月に合わせてロマノフたちが出てくると、ディミトリも彼女の記憶に迷い混む…。梅芸だと「アーニャ?」のあとフェードアウトしていたような。

このオルゴールが偶然ディミトリを介してアーニャの手に渡り、最後は皇太后との再会の後押しになる…のはとてもロマンチックだと思うのですが、ちょっとご都合主義なのは否めないかも。アニメ版の「パリで会いましょう」と書かれた鍵、それでしか開かないオルゴールの方が特別感ないかなぁ。でも皇太后謹製の一点ものだろうし、中の歌もオリジナルなんだろうな、きっと。歌詞を知っているのは2人だけだったんだと思いたい。

どんどん国境が封鎖されてる、お金はあとどのくらい?と尋ねるアーニャに、実はまだ全然足りないから、他の誰かを頼った方がいいと告げるディミトリ。いくらなのか金額を明示してくれた方が観客にはわかりやすいかも。どう考えても自分が稼いだお金を「あなたのお金なんかいらない!!」と叫ぶアーニャはやはり強情だし、わりと短気で勢い任せなところがあるなと。でもディミトリも「今謝っただろ!」じゃケンカになるだけだから、もっと他の誰かを紹介してあげるとかしようよ。アーニャのお金を返したんじゃなくて自分の分も渡してるんならこの台詞には納得できるけども。この時点で「君は行くべきだ」と言っているので、アーニャが本当にアナスタシアだと信じ始めているのかな。

ところで、やたら伏線ぽい「訳ありな赤子の下着に縫い付けられたダイヤモンドに気がついたけどガメずに取っておいてくれた看護婦」は何者だったんだ。いい人過ぎるだろう。Twitterではグレブ父の差し金説を見ましたが。グレブ父、情報がなさすぎて妄想をねじ込むのにちょうど良い立ち位置。

まかトリの「ダイヤモンドぉ~!?!」はなかなかクセになる言い回しだなぁ。それを受けたずんさんの「なんじゃこりゃ~!!!?!」もどんどんアドリブが進化していって、長期間公演ならではの楽しさがありました。なおディミトリの「パリ、ホテルの部屋、バスタブ!」にロンロンの「シンガポール、夜景、デートスポット!!」を思い出すなど。

梅芸で謎だった「君が女の子じゃなかったら…」の続きは「俺はそうするぞ~!」でした。女の子じゃなかったらお金持ち逃げするんかい!!笑 いや反語なのはわかるんですが、もうちょいわかりやすい言い回しにできないかな~。

第8場 サンクトペテルブルクの駅

電車のセットが素晴らしい!!LEDだけじゃなく装置との組み合わせで、かなり奥行きを感じました。本当に駅にいるような臨場感と、盆を使った演出が良い。梅芸のスケスケトレイン+映像が好きだったのでどう再現するのかなーと思ってたら、また全然違う感じで攻めてきたな~。列車が縦長なので、座席感がすごくありますね。りんきらさんはあまり知らなかったけど、声が朗々としていて迫力あった。イポリトフ伯爵は名ありキャラなのに出番が一瞬過ぎて、もう少しロシアの現状を喋らせたり「彼はフランスに亡命するつもりなんだろう」みたいな台詞を足しても良いと思う。アーニャ=アナスタシアに気づいた貴族なのに、ちょっともったいない。この出会いを受けて、アーニャは車中で私はアナスタシアよ!って自称してみようと思ったのかなぁ。

「我がふるさとに愛を」の順番はアーニャとディミトリが逆転していたかな。ところで宝塚でアカペラって珍しい気がしますが、そんなことない?

第9場 列車のコンパートメント

ちょっと子犬のように飛びはねおじさんのインパクトが強すぎて、梅芸の歌詞があんまり思い出せない笑

梅芸ほど背景が動かないかと思ったら、宝塚も動く動く!ちゃんと電車に合わせて角度も変わる!そして電車が広い分生徒さんの動きがはっきり見えて良いかも。うろ覚えの歌詞は以下の通り。

梅「ちょっと老けたけれど シワも(白髪?)増えたけれど」

「年こそ重ねたけれど 魅力も増えたと言われるし」

宝「白髪も増えた でも関係ない」

梅「これが最後のチャンス」

宝「このチャンスしかない」

宝「ここから始めよう」

梅「新たな旅立ちだ」

子犬のように飛びはねおじさんを、若者2人が「なんやこいつ…」と非常にしらけた顔で見ている様子がばっちりライビュで抜かれていて笑いました。あそこ、どうしてもおじさんに着目してしまうからなかなか気づけない。

梅トレインだと席に立っちゃうお行儀の悪いディミトリが見られたけど、まかトリはちゃんと座ってるし、窓からちょっと顔を出すだけなので躾が行き届いている。あと、今更だけどまかトリは帽子をかぶらない。ウラドもモフモフ帽子をかぶらない笑 観客たちも曲に合わせて一緒に揺れているのがかわいい。グレイヘアのマダムなららちゃんがまどかちゃんと一緒に嬉しそうなのが眼福。そして、初見では絶対気づけないソラカズキ!こんなにもさもさしてるのに2幕では…という振れ幅がすごい。なんかヒモ男って設定を見たんだけどほんとですか?

イポリトフ伯爵が撃たれた後、電車から飛び降りようとする3人を周りの人たちが止めようとして「危ないからやめなさい」みたいな台詞を言っていたらしい。そういうマイクに入らない会話聞きたい~!歌劇とかに載ってるかな?宙組でジャーンプ!と言われると「お前は~跳べる~」と歌いたくなってしまいますね(にわか)

公演ポスターは、この汽車から降りて徒歩でパリに向かっているところなのでは?という説を強く推したい。

第10場 政府事務所/様々な場所

確かに様々な場所だけども!笑 わちゃわちゃ踊るボリシェヴィキたちは追手なの?グレブだけが単独でアナスタシアを追っかけているはずなんだけど。そもそも根本的に、偽アナスタシア捕獲作戦にしては人員が足りてなさすぎる気がする。新政府側からしたらそんなに重要視していない案件なのかな。でもロマノフに関する噂話ならなんでも集めているくらいだしなぁ。その割に銃一つで何とかしてこいやという雑さがある。役職持ちなんだから、アシスタントを一人くらいつけてあげてください。ここをもっと説明してくれないと、グレブが使いっぱしりみたいに見えちゃうよ。

「急げアナスタシア~♪時間がない」の背景はやっぱり地図の方が良かったな~!遠くに来ました感が欲しい。実際、日数にするとどのくらいかかるのかな。直後の「あの命は お前次第だ」の言い方がどうにも気になってしまう。それにしても、アナスタシアじゃなかったらロシアに連れ帰って見せしめに処刑/アナスタシアなら父の仕事を完遂させろ(パリで殺せ)なの、さほど違いのないご提案では…?

第11場 田舎町

ほぼパリだと思っていたけれど、あそこは田舎町なのかそうか…。「ロシアみたいだ」「フランスなんだよ」のやり取りはアメリカン…なのかな?笑いは起きてました。ちびウラドのアドリブはいつも面白かった!でも放り投げられたり、放置されたり不憫。あと、突然運転手が出てくるのはやや唐突。「車に乗せてもらって楽できたな!」とかウラドあたり言ってくれそうでは?

ウラドの「彼女がアナスタシアだったら、お前は寂しくなるな(ニュアンス)」に対し「(どうして寂しくなるんだよ、)意味がわからないよ」と返すディミトリ。計画が成功すれば、もう彼女に会えなくなってしまう。梅芸ディミトリたちは自分の気持ちに自覚がある/ないが人それぞれに感じたけれど、まかトリは若干気づいてそうだったな。でもまだそこまで強い感情じゃないから認めたくない、そんな感じ。

ウラドは2幕で2人のロマンスは想定外だった~やっちゃったな~と歌うのですが、この時点では人生の先輩としてなんやかんやディミトリを心配しているのかな。恋が成就するかはともかく、傷ついたらかわいそう的な?相棒の割に、最後はあっさり別れるドライさがある2人だと思うのですが、意外と情がある。

宝塚版はディミトリ主人公ではあるものの、やはりこの物語の主役はアーニャなのはどうしようもない。それを踏まえるとJourney to the pastはぶっちゃけソロ、もしくはアーニャ比重もっと重めにして欲しかった気はする。あれはあくまでもアーニャの歌なので…。でも宝塚だから仕方ないか。訳詞はさほど無理なく宝塚ナイズされていたように思います。ところで最後、キキちゃん草むらから飛び出してくる必要あった???笑 ここでも背景は紫ではなく陽射しの色(うろ覚え)。あの色は使っちゃダメだったのかな?

 

なんだか梅芸と宝塚の比較というより、脚本全体へのツッコミ感想になっちゃった。好きだから辛口になるのか、辛口に書けないとべた褒めしてるだけみたいで嫌なのか…。2幕は次の記事で!

ここまで読んでくださった方は、ぜひぜひ明日の千秋楽ライビュorライブ配信を観てください💕まだ間に合うぞ!