今日、お日柄もよく

心浮き立つ遊びがしたい

違いを楽しめ!宙組アナスタシア②

今日はアナスタシア大千秋楽!!昼からライビュだよ!13:00までチケット買えるよ!こんにちは!回し者です!

1幕ではおよそ冷静でないツッコミ合戦(愛は感じてほしい)を繰り広げてしまいましたが、深夜に書いた感想は勢いが大事ということで2幕も張り切って参りたいと思います。

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パリの幕は華やかなピンクでかわいいね…。

第1場 シャンゼリゼ通り

パリの街でミラーボールが回る…!回る…!(演目違い)

水色ドレスのみねりちゃんがかわいくて、そこばかり見てしまう。しかしまどちには、もっとウエストがキュッてしたドレスが似合うんじゃないか?!周囲の女の子たちが着てるような。なぜこの黄色の衣装。なぜ謎のサスペンダー。ドレスアップした時との比較で、今はもっさり感を出したいのならわかるのですが。いやでもせっかくパリに来たんだから、まず1段階アップデートさせてあげてくれよと。ここは素直に梅芸衣装のままでよかったのでは?!

梅芸では、途中ディミトリがアーニャを誘おうとしてもだもだしているうちにアンサンブルにかっさらわれて結局踊れない(ちょっと残念そうな様子がキュン)という演出がありましたが、まかトリとまどーにゃは普通に踊ってたな。ところで最後メイン3人以外がハケる時、なぜか1人だけダンサーさんが残ってちょっとディミトリと絡んでいましたが、あれはなんだったんだろう。少しでも出番を増やしてあげようという宝塚的配慮?

エレベーターでエッフェル塔を昇る演出は、梅芸だと四角くぎゅっと集まるのでわかりやすかったけど、宝塚ではそうでもないかな。あと、花火に合わせてダンサーが飛び上がるのもなくなっていた。ちょっとアホっぽくて好きだったのに…。

それにしてもパリはえらく治安がいい。命の危機を感じさせたロシアとの差よ。時代背景的には第一次世界大戦戦勝国なので、そりゃテンションも上がるしイケイケなのかなぁ。こんな風にざっくり語るのはよくないけど、アメリカから観たパリっていつも陽気で恋人たちの街のような。パリにだって辛いことはたくさんあるはずなのに…(雪組…)。

第2場 アレクサンドルⅢ世橋

crossing a bridgeは梅芸に引き続きカット。いよいよ探していた人に会えるかも!っていう歌詞なので、歌っても構わないような気がするのだけど。ネヴァ・クラブに行く前に、ウラドが高いところからチケットをほれほれ~っと渡してるアドリブを見ました。仲良し!

梅芸に橋はなかったので、視覚的に橋があるのは強い。橋の名前を聞いてもアーニャの表情にさほど変化はなく、まだおじいさまの橋だ!ということは思い出せていない様子。「川面に夕日が揺れて琥珀みたい…もう少しだけ眺めていたい」の台詞は詩的でgoodなので、もうちょい滑舌が良いといいかも!そんなアーニャを置いて、ディミトリはいそいそとホテルに退散。「お湯を使いきらないでね!」に対して「気を付けろよ」とはこれいかに?彼はバスタブにかなり憧れているけど、ロシアはお湯が止まってるのかな。路上生活だからお風呂にはたまーーにしか入ってなかったという解釈をしました。

第3場 マリア皇太后のサロン

手紙の内容を聞くすっしぃさんの演技、麻美れい様にも劣らない名演だと思います。ロマノフの残滓(言い方は悪いけれど)として威厳があって、皇族としてのプライドは今も残っている。でも心はくたびれきってしまった老婦人という深みのある人間性が皇太后の魅力。あと麻美さんはお歌が壊滅的だったので、すっしぃさんはノーストレスで聞ける。メインキャラの少ない作品の中で重要な役どころだけど、おばあさん役って路線の人はあんまりしないんですよね。もし星組公演だったら、万里柚美さんだったのかな。

太后が物思いに耽る時のリリーのセリフには、

梅「もう聞こえていらっしゃらないようね…」

宝「(あら~)もう聞こえていらっしゃらないようねぇ」

くらいのニュアンスの違いを感じました。そらリリーの方が根がさばさばしているのかな。あと「明かりをつけますね」の明かりが小さすぎないか?と毎回思ってしまう笑

あと、確か梅芸では「愛するリリー、難しい女であるわたくしについてきてくれるのはあなただけ…」って台詞があって、ああリリーだけはずっと側にいてくれたんだな…態度では飄々と見せてるけど、2人の間には強い絆があるんだなと思えてすごく好きでした。宝塚では「愛する」はカットされていたような。

閉じよう扉をでは4姉妹が登場。どうにか出番を増やそうと苦心しているのが伺えます。お姉様たち、名前すら呼ばれないもんな。アレクセイも呼ばれないけど、まだ台詞があるから印象には残る。「かくれんぼして、ほほにキスを」の、みねりちゃんが手で顔を隠してからそっと指を頬に添える仕草がかわいいったらない。

これは天才のカメラマンが撮ったスーパーかわいいみねりちゃんです。ドレスの翻り方が素晴らしい!娘役さんももっと舞台写真ください…。

第4場A ネヴァクラブのエントランス

初回は気づかなかったけど、しどりゅーセルゲイがリリーを見た瞬間パッと嬉しそうになるのがかわいい。お得意様マダムにかわいがられる若いイケメンギャルソン…。背徳の香りがする。ネヴァクラブのセットは豪華で、本当に建物の奥行きが感じられる。これは絶対宝塚版の方が良い。大道具さん毎回大変なんだろうな。

客とリリーが「来週は白鳥の湖で助かった~」と会話するくだり、かつてロシアで流行っていた演目と、当時台頭してきたバレエ界の新しい流れを表しているという考察をどこかで見たんだけど見つけ出せない。もう一度読みたい。

それにしても、グレブはせっかくネヴァクラブまで来たのに、腹を立てて帰るなんてスパイとしてどうなんだ。うまいことギャルソンを買収するくらいしてほしいもんである。ぷりぷりしながらずっと外にいたんだろうか…。堅物にスパイさせると死んじゃう(例…ジャベール)から、適材適所にして!そもそも何を目的にネヴァ・クラブに来たんだろう?宝塚でたまにある心の声でもいいから(良くないけど)「ここなら彼女の情報が手に入るかもしれない…」くらい目的を語ってほしい。アニメの悪役ラスプーチンだったら、どこに出たとて「まぁラスプーチンだもんな」ですむけどさ。

第4場B ネヴァクラブ

ソラカズキは最高だぁ!!!ソラカズキがいれば、舞台は素晴らしい!!

梅芸リリーは酸いも甘いも噛み分けたおばちゃまって感じだったので、宙組では誰がやるのか全然ピンと来なかった。娘役っていうより女役って感じのお役だし、元雪組の舞咲さんとか向いてそう~って思っていました。が、発表されて実物を見たらまぁ~和希さんにぴったり!そらリリーは何歳設定なんだろう?衣装も梅芸のモスグリーンから、真っ赤なノースリーブドレスに。髪型も赤毛のおばちゃまスタイル(近いイメージはヘレナボナムカーターの赤の女王)から金髪美女に。やっぱり若い役作りになっていると思う。

過去の国へはかなりの難曲だと思われますが、高音が伸びる伸びる。これは歌も喜んでいますわ!!「ここーはー♪」「ローシアー!⤴️」の上がり方が最高。しかしラストのサビ前をちょっと削ったのはなぜ!?!!?そのままで良くない?ソラカズキの歌声を1秒でも長く聞いていたいと思わないのか。もしやこれがフィナーレのための都合というやつ?

梅芸再演があるとしたら、数年後に仙名彩世リリーとかいいかもしれない。切れのあるダンス、迫力の歌声、あだっぽく色っぽいかつコミカルな演技!全部できそうじゃん!見たい!はい唐突な話終わり。

メイドさん(の割に衣装がめっちゃ豪華)やギャルソン、お客も相まって、宝塚らしい賑やかな場面になってました。ダンスの系統はかなり梅芸から変わっていた印象。最後にしれっとずんウラドがいるの、かわいいけど腹立つ顔してるな。ギャルソンたちがたいへん冷たい目付きで早く椅子から降りろよと促していたけど、うさんくささが滲み出ているからか、ロシアでの評判が悪すぎたのかどっちだ。そんな一大詐欺師ならネヴァクラブに現れた時点でシバかれているだろうし、お得意様のマダムに俺の女面するから不愉快だったんだな!

第5場 ネヴァクラブの中庭

歌の途中、我慢しきれず「ん~っ!」と溜めてから「愛してた」と歌うリリーに対し「愛された」と返すウラドはさすが詐欺師!ずるい!受け身!一見人畜無害でちょっと頼りないおじさんに見えて、本当に人の心を操るのがうまいんでしょうね…。

なんかそらリリー、「あなたの知っているリリーかしら…」のテンションといい、梅芸に比べてデレるのが早いというか素直。若いから?梅ウラドはやたらめったら腕にキスしていたけど、ずんウラドはそうでもなかったかな。これすみれコード?熱烈にイチャついてるし、リリーって肉感的(ソラカズキはありえんほど細いけど)なキャラだし、わりと直球にエロいシーンですよねここ。また秘密の合図は梅芸では腕を払う→手を目元に当てるの2段階だったと思うけど、腕を払うのみになってましたね。

カップルたちが楽しそうにしていると、永遠に眉間にシワが寄り続けるグレブさんが登場。貴様今まで何をしとったんだ。梅芸ではウラドが落としたバレエのチケットを運良く手に入れて劇場に足を運んでいたが、ずんウラドはチケットを落とさない。(梅ウラドはその後リリーに工面してもらったんだろうか…?)きっとキキグレブはチケットを求めて奔走したに違いない。ギャルソンと仲良くなってたらご厚意で譲渡してもらえたかもしれないのに。とにかく無言でアーニャを追っかけることに集中している。彼女がアナスタシアかを見極めて、極力殺さない方向にリードしたいんだろうけど、いちいち方法が迂遠だぜ!

第6場 ホテル アーニャの部屋

ロマノフたちの悪夢にうなされるアーニャ。家族の夢だし、彼らの話す内容はそこまで怖いものじゃないのに、誰だかわからなくて怖くなってしまうのが悲しい。ららアレクセイが初めてセリフを発しますが…声がかわいい!!表情も全部かわいくてすごい(彼の台詞だけ怖いっちゃ怖い)。もふもふのお帽子もかわいい…。そしてららちゃんをずっと片腕抱っこしているこってぃの筋肉もすごい。ぽっぷあっぷのトーク面白かったです!

梅芸ではディミよしの上腕二頭筋に驚いたこの場面、さすがに宝塚でタンクトップはダメですよね!でもあのゆったり仕様のパジャマ、もうちょい男物っぽいデザインでも良かったんでは。そして2人とも互いに心を許しあっているのか、やたらと距離が近い。梅芸ではちょっと近すぎて一瞬離れてどぎまぎ、みたいな描写がありましたが、宝塚の2人はそんなに気にしてなかったな。無意識に近いというか。

「俺が皇太后だったら、君みたいな子がアナスタシアだったらって思う」って、金儲けの裏でずっとアナスタシアを追いかけて来たディミトリが言うと最大級の誉め言葉だよなぁ。彼の中ではアーニャはきっと完璧ではない。口喧嘩もするし、反りの合わないところだってあるはず。でも、彼女の強さ、気品、それらがアーニャをアナスタシアたらしめていると強く確信している(いつからかは明確にわからないけど)。

小さい頃ディミトリが見た皇族のパレード。馬車に乗っていたのは、かつての皇女アーニャだった…。実は2人が幼少期に出会っていたことがわかるロマンチックなシーン。2人だけで描写としては地味かもしれないけど、静かに記憶が甦るところがいいと思います。アナーキストの父は収容所で死んだとのことでしたが、少年ディミトリは皇族のパレードをどんな気持ちで観たんだろう。もっと皇族を憎んだりしても良さそうだけど、すさんだ生活の中でも綺麗なものは心に残ったのかな。

歌の途中からかなり演出が変わっていたので驚いた。ここは梅芸の方が好み。

梅…「でも私覚えてる!」で駆け寄る二人。至近距離でデュエットしてから、見つめ合ってキスしそうになって、でも直前でディミトリがスッとひざまずいてからの「皇女様」。好きになっちゃったけど、自分が手を出しちゃいけないという()諦めを感じる。
宝…近づかないからわりと距離が離れたまま。(もしや長い脚でひざまずくスペース確保用??)曲が終わると同時に「皇女様」。この時点では恋心より、アナスタシアに会えた驚きと敬意の方が強いのかな?まかトリはとにかく紳士。

この場面でディミトリは完全にアーニャをアナスタシアだと確信しているけど、アーニャも一部記憶を取り戻して、ほぼほぼ自分をアナスタシアだと思っているんですよね。ディミトリとしてはもうお金は目当てじゃなく、とにかく彼女を家族に会わせてやりたい。でも計画はあくまで詐欺の形をしているから、後々気持ちがすれ違ってしまうんだなぁ。

第7場 バレエ

ここもかなり演出変わってましたね!

ウラドとディミトリが談笑しているとセンターから青いドレスのアーニャが現れて、周囲の人々がざわついてた気がする。アーニャは周りの視線が気まずいのでディミトリを手でくいくいっと呼び、エスコートしてもらう。そもそもディミトリはウラドに指摘されて靴ひもを結んでいるため気づいておらず、顔を上げてアーニャに見とれる(パンフレットとかでもよく使われているシーン)
他の観客がはけたあと、袖からアーニャが登場。ウラドとディミトリだけが彼女を見つける。ディミトリのネクタイを直そうとするも、大丈夫だから!と手で払われてエスコートされる。

結構雰囲気変わりますよね?というか、敢えて変えなくても良かったんじゃないかな~って思っちゃったよここら辺は。周囲がざわつくことで、アーニャがアナスタシアらしいってことを表せるのでは?

さて件のバレエですが…いやロットバルトよ!!!

歌ってる4人の表情、まさかの立ち見グレブさん(まじで立って観てるし、アーニャが歌うときだけオペグラ上げてて本当に笑う)と見所たくさんあるんですけど、まぁ~~~ロットバルトさんが出てきた瞬間何を差し置いてもこの人を見なければ!!!!となってしまいますね。跳躍力半端ね~!!!優希しおんさんね!どうしてキヨちゃんなのかわからんがとにかく覚えました!私カンパニーもニジンスキーも観てないんで、もっとばりばりバレエしまくる公演があるかもしれないんですが、礼真琴のロクモ爆踊り以来の衝撃だぜ…。東京から拍手できるようになって嬉しい!

第8場 舞台、そしてボックス席

ティアラがかわいいそらリリーだけど、「ご機嫌の良い時はないの(ゴゴゴゴ…)」という書き文字が背景に浮かんで見えるようだ。

Everything to Winもいい曲ですよねーー。そわそわするディミトリの心情がよく伝わるシーン。全てを勝ち取れても、ただ一つだけ失うものが…それは…。詐欺師だったディミトリが、自分の幸せより相手の幸せを願えるようになったんだなぁ。でもたぶんその気持ち、全くアーニャに届いてないんだよなぁ。

戻ってきたアーニャは、しかしディミトリの期待とは裏腹に皇太后に顔を向けてももらえなかった。ショックだったのはわかるけど、ここでアーニャがディミトリにキレる理由はやっぱりわかりにくいと思ってしまう。

だってディミトリたちの「偽アナスタシアで報償金をもらう計画」にアーニャが気づかないはずないのでは?出国許可証をもらいに来ただけなのに、突然君は記憶喪失のアナスタシアかもしれない!一緒にパリに行こう!なんて苦しいじゃん!少しは疑いませんか。ストーリー全否定になっちゃうが。そこはさすが詐欺師ってことで、全く悟らせなかったのかもしれないけど、ロシアを踏破する女はそんなにチョロくないのでは?いやもしかして、アーニャめちゃくちゃ鈍い…?ピュアなのは間違いないけれど。

しかも「嘘をつかなかった」ことがアーニャ的なポイントだとしても、最初は自分がアナスタシアだとは思ってもみなかったし、詐欺師と呼ばれる不安はあったんだから、ある意味嘘をついていないとは言い切れないんじゃないかなぁ。その辺の自意識気になる。

自分が誰か自信がなかったけれど、ディミトリとの会話で子供の頃の記憶が甦って、自分は本当にアナスタシアかもしれない…と思い始めたタイミングで皇太后に全否定されたのがショックだったんだと思いたい。まぁでも、お金じゃなくて「私を待つ誰か」に会いたい一心なら、報償金狙いの詐欺師呼ばわりされたら普通怒るか…。

せめて台詞で「私はお金なんかいらなかった!家族に会いたかっただけなのに!」「偽アナスタシアで報償金をもらうなんて話なら、参加しなかった!」くらいにフォローしたらどうにかなるのかなぁ。

第9場 皇太后の控室

アーニャが「大嫌い!」と吐き捨てて走り去った後、「もう行きました?」と皇太后が現れるのは一緒。ディミトリが話しかけるも無視されて、梅芸ではとっさにドレスの長い裾を踏んづけて止めていましたが、またトリは前に回り込んで通せんぼ。そして、結構痛そうだった皇太后の平手がない!!やはり宝塚ナイズされるとお上品になるのかな?(でも、ばあさん!と捨て台詞は吐く…笑)

そういえば、皇太后のドレスは黒基調から白基調に変わってましたね。

第10場 ホテルの部屋 

ディミトリはそのまま舞台に残って、場面はホテルの部屋に。怒り心頭のアーニャが何よこれ!と投げつける謎人形は宝塚でも謎。絶妙にかわいくないし、本当なんのために買ったんだ。え、それプレゼント…?20代女性に?なんで??それこそバスタブトークの後にでも「喜ぶかな…」とか言いながら買い物するシーン足してくれたらいいのに。

アニメだとディミトリが皇太后の車をかっ飛ばして無理やり連れてくるという力業を見せていましたが、舞台の皇太后は自分から来てくれる。ディミトリの去り際の捨て台詞が効いたってことなのかなぁ。「歴史がこのゲームに決着をつけるように要求していると思います」ってカッコいいけど、なんで来たかはちょっとわかりにくい。「あの青年が無理やり…まったく、どうして私がこんなところに!」くらいにしたら、ディミトリの熱意が伝わって良かったんじゃ?

アナスタシアの白眉はこのシーンだと思っています。自分は誰か、という問いに決着が着くからこそ、後々のグレブとの対決が効いてくるのでは。静寂の中で2人だけのお芝居は見ごたえがある。皇太后が自分を「おばあさんよ」っていうのが、いかにもくたびれていて良かったんだけど、ちょっと台詞変わってた気が。「あのさよならが最後になるなんて思いもしないでしょう?!」は、梅芸ではコロナ禍を感じさせたし、宝塚では異動を感じさせるし、2020~2021年に無駄に親和性が高い!

結局、アーニャが本当にアナスタシアなのかは、いまいちはっきりしないままだと思います。終盤リリーも同じようなことを言っているし、初見時どうしてもそんなにあっさり認めてもらえる~?!と思ってしまって。お話だからと言ってしまってもいいんですが、それだと身も蓋もないので…。

もちろん観客はみねり→まどかの交代を観ているし、アーニャの記憶が戻りつつあることもわかっています。メタ的にもアーニャはアナスタシアでしょう。ただ相対する登場人物たち(特に皇太后)は、アーニャの記憶が見えるわけでもないし確信を持てないと思う。というか、本人の記憶だけが根拠っていうのがもう弱いと思ってしまう。曖昧なものだし、妄想かもしれないし、勉強したり思い込みだったりするかも。たとえ今までの幾多の偽アナスタシアたちに比べたら、遥かに正確であっても。

だからこそ、自分は、彼女は「アナスタシア」だと「信じる」ことで本物になっていくのではないかと。そこを疑ってどうする?っていう話だとはわかってるんですが、正直梅芸からずっと引っかかっていたので…。ディミトリが彼女が本物だと思った理由は直感です!と言って皇太后が鼻で笑う場面がこの後にありますが、本当信じるって直感だよね…。説明つかないよね…。

第11場A ホテルの控室

梅芸だと抱き合うアーニャと皇太后にガラス越しに一礼して去っていき、しばらく出番のないディミトリ。アニメではもう一度アーニャやウラドに会って別れを告げる場面があるものの、舞台では終盤「彼は報奨金を断ったの」の一言で説明されてしまっていました。ここを増やさないと影が薄いままなので、追加シーンはまぁあるだろうな~って感じ。

宝塚では「オレンジの香り…!」の後ろでガラス越しに佇んだ後、「home,love,family…」と口ずさんでパリの街を歩き出します。ここ、アニメ版の「夜のお屋敷に向かってお辞儀するディミトリ」を拾ってくれていて、とても良い!背景の夜景もきれい!she walks inのリプライズもベストな使い方。もう会えないけれど、死ぬまで思い続けるよと歌うのが泣かせます。これを本人に言えないのがディミトリなんだよなぁ!言わないのがかっこいいんだけど!!

お芝居はお芝居として、本来余計なノイズは入れずに観たいもの。というか、感想はあくまでその舞台のみの情報で書きたいと思っています。でもこの公演中に発表されたトップコンビ解散・まどかちゃん異動には、どうしたって言及せざるを得ない。現実のお別れと作中のお別れのリンク感がすごくて、余計に切なさが増すなと。作中では再会してずっと一緒にいられるであろうのがまた…。

太后とのシーンは、梅芸みたいに想像で補えなくもないから、あってもなくても良かったのかな。でもアーニャを信じた理由が直感だとわかったり、「俺は人生で初めて褒美をもらった気分だよ」「彼女を認めてくれてありがとう」などなどディミトリの善性を補正しているからあってもいいのかも。

第11場B ホテルの広間

歌っているリリーの後ろからウラドが割り込んできて歌う「ポ・ポ・フ💕」の方が「POPOV!」よりわかりやすいから、梅芸も再演はこっちにしては?やたらとウラドは名字を強調されるけど、何か意味があるのかな。ディミトリなんか名字の話かけらも出てこないのに。ところで記者のあきもさんもかわいいね。

なんて思っていたら、ちょうど昨夜Twitterでそんな話題が!!めっちゃタイムリー!領地なし貴族だとか、皇太后に叙任されたとか、普通にリリーのでまかせ(しかも、リリーに言わせるウラドが仕向けたんではないか、さすが詐欺師)だとか、皆さん考察力高いなぁ。やっぱり当時の制度とかちゃんと調べないとだめだぁ。

「静かに!」「そう!」のドスの効かせ方が天下一品で、再演リリーはかなり人選が難しそう。今劇団にいる人でできそうなのって誰だ?今後出てくる歌うま下級生とか?

最後にウラドがこっちを向いてぺこっとお辞儀する場面は梅芸にはなかったかな。お騒がせしました~ってこと?笑

第12場 ホテルの控室

ナナとアナスタシアの最後の会話。「あのさよならが最後になるなんて想像もできないでしょう?!」と言っていたナナが、別れを悟ってアナスタシアに告げる「私たちはもう二度と離れない」が優しくて辛い。でもここ、梅芸だと「どこにいてもずっと一緒よ」みたいな台詞だった気がするんだけど、気のせいかなぁ。

アーニャのピンクドレスは後ろに(なぜか)ブーケがついていてかわいいね。まどかちゃんはこういうデコルテが出るドレスの方が似合う!絶対!!カフェブレイクを見て、いっそうその思いを深める私であった。

宝塚のはい陛下、本当にひどい男です!より、梅芸のはい陛下、彼はクズです。の方がシンプルに悪口で好き。

第13場 ホテルの大広間

アナスタシアからディミトリに主人公変更ってことで、最後の対決に乱入してきたりしたらどーしよ…と懸念していたがそんなことはなかった!!アーニャは自分の因縁には自分でけりをつける!し、ディミトリは彼女の幸せを願って身を引ける男だった!疑ってすまん!

キキちゃんの流れるネヴァ河リプライズは声量豊かでとても良い。グレブはアーニャがアナスタシアになってしまう以上、「父の仕事=皇族を皆殺しにする」を完遂させなくてはいけない。しかし、思い詰めた表情で銃を向けながら、やっぱり引き金を引くことはできないのだった。崩れ落ちながら私は父の息子にはなれなかった…って言ってるけど、結局アーニャに情をかけてるから立派に父の息子だと思うよ…。

グレブ父は、皇族を皆殺しにできなかったこと、皇族を手にかけてしまったこと、どっちを悔いていたんだろう。「父は自分を蔑んで死んだと母は言った」なら、本当は軍人として守るべき皇族を手にかけたことを後悔した方がわかりやすいかな。だから、自殺したと。

アニメの悪役ラスプーチンは出したらギャグになってしまう。だから代わりに作られたキャラがグレブ(たぶん)。いまいちキャラがボケていることが否めない彼の存在意義は、とにかくこの「君は誰だ」という台詞にかかっていると思います。アナスタシアは主人公アーニャの自分探しの物語で(稲葉先生ごめん)、そこが終着点。皇太后はアーニャをアナスタシアだと認め、ディミトリはアーニャを肯定してくれてしまう。でも最後までグレブは彼女に問いかけ続ける。二段階認証とでもいうか、皇太后とのやりとりで一度自分でもはっきりと信じることができて、なお疑問を突きつけられて、その時初めてアーニャは自分が誰かを高らかに宣言できたのだと思う。だから彼はこの物語にいていいの!OK!なんか、ようやくグレブというキャラクターに自分なりの答えが出せたような。

絞り出すような「あなたがアナスタシアだと信じている…」も良い。しかしこれだけでかい感情を抱えているにも関わらず、グレブが去ってからアーニャが走りだすまでのタイムラグがなさすぎる。いかにアーニャからの思い入れがないかがわかってしまってかわいそう。とことん本命に印象を残せない男…。長い人生を、同志。

第14場 アレクサンドルⅢ世橋

トランクキスあれへんのかい!!!!!(大声)

絶対やると思ってたので、かなりびっくりした。まかまどの身長差でこそやるべき演出だったのでは…?なんで??アーニャからの背伸びキスもかわいいけどさ。

夕暮れの橋の上で、ディミトリを見つけるアーニャ。ディミトリはアーニャは皇太后と暮らしていくと思っているので、わざとつっけんどんに別れの挨拶をするも…。「パレードから俺を見つけても手なんか振るなよ。お辞儀もダメだ。人生を一緒に過ごせない相手に、恋なんかしたくないから」が「手を振っちゃだめだぞ」になっててびっくりした。まかトリは最後まで語気が優しい。ぶっきらぼうさがない!ここの演出はかなり違いが際立っていたように思います。

 

梅芸…トランクに座っていたディミトリが立ち上がる。「ずっと夢だったの。初めてのキスは、パリで素敵な王子さまとするんだって」

「俺は君の王子さまじゃないよ」

「さようなら、皇女さま」からの、「皇女アナスタシアは、異議を唱えるでしょう!」。

近づいたアーニャがトランクを手に取り、床に置いて乗る。上からディミトリを見つめて「ディマ!」でキス。トランクを持って舞台奥に二人は歩いていく(ウィキッド…)。


宝塚…「ずっと夢だったの。ファーストキスは、パリで素敵なプリンスとするんだって」

「俺は君のプリンスじゃないよ」

「さようなら、皇女さま」

「大皇女アナスタシアは、許しませんよ!」からのアーニャが背伸びしてキス。二人はセンターの橋のたもとで踊り続ける。

 

橋が実際にあるのとないのでは、だいぶ演出が変わってきますね。そして宝塚はなぜ単語をいちいちカタカナにしたのか。ごめんね…梅芸が親だからいちいちケチをつけてしまって…。

第15場 ホテルの広間/政府事務所/そして…

何回観ても、途中さすがに飽きたかなと思っても、皇太后とアーニャの対話グレブとの対決エンディングは絶対泣いてしまう。皇太后の最後の台詞「それでも!」に万感の思いが込められていて号泣ポイント。それでも、彼女は私のアナスタシアだった、なのかな。

二人がセンターにいる間に、袖から皇太后とグレブが出てくるのは同じだけど、舞台の色合いが全然違うので印象が変わってくる。梅芸は白っぽく光っていた記憶があるけど、宝塚は紫っぽい場面だったような。

梅芸では、アーニャとディミトリは舞台奥で後ろ向きに立っていて、『遠い12月』に合わせて盆が回って正面を向いていた。同じタイミングでロマノフたちが現れて踊り始める。最後舞台上に全員集合して幕。

一方宝塚。二人がセンターで踊り続けていると、次第にロマノフ家の面々だけが橋を渡って現れる。なんとなく、橋を渡って死者たちがやってくると、異界との繋がりみたいなものを表現したいのかな~なんて思ったり。家族写真の構図でシャッターが鳴り、最後はshe walks inのメロディーにあわせて、本が閉じる映像でfin.〆のメロディーにShe walks inが入っているから、梅芸とかなり違う印象。ディミトリの入った家族写真は、きっとアーニャの夢なんだな…。

梅芸は「愛(恋愛)」宝塚は「家族愛」を主題にしているのかな?私は最後ディミトリが写真に写らなくてもいいんじゃないのかな~と思うので(皇室に入るわけじゃないから)、梅芸の方が好きかな~。でも、よりおとぎ話っぽさを強調しているのは宝塚だと思う。

【千秋楽後追記】

結局なんでこんなにアナスタシアに惹かれるのかうまく説明できない…。曲が良くて、ロマンチックなストーリーで、キャラクターが良くてハッピーエンドだから…だとかなりがばがばした判定になってしまうなぁと。散々書いてきたように脚本にもツッコミどころはあるし…。でもやっぱり、主人公アーニャが自分探しの旅を終えて、皇女としてはなく何も持たないディミトリと力強く生きていくことを選び、歴史の表舞台からは消えていくもきっと幸せになるだろう…という幻想的な結末がいいんだろうな!とにかく好きだー!!!

 

第16場 フィナーレA

エメラルド色のずんさん、歌うめ~!!!そして鼻筋がキレイ~!!!とても10分前までヒゲのおじさんだったとは思えません。というか、この準備のために最後はロマノフたちだけなんですよねきっと。ロケットちゃんたちを指し示しながら、銀橋の端でキラッとポーズを決めるところがやっぱりかっこいい。目力ある。

第17場 フィナーレB

このロケット衣装と髪型は素直にかわいいと思うぞ!時々トンチキなやつあるじゃないですか。山吹ひばりちゃんという衝撃。エッめっちゃかわいい…。正直1回しか観れてないけど、すごく印象に残っています。ショーケースが降りてくるみたいな演出も、少ない人数だからできて結構効果的なんじゃないかと!

第18場A フィナーレC

Mypeterburgをあんなにかっこよくアレンジして頂いて、本当に本当にありがとうございます。まさか2パターンもアレンジがあるなんて~!!どっちも神!娘役群舞も男役群舞も大好き!!

エッフェル塔幕の丸い穴からバァーン!と登場する真風さんはねぇ、もうなんかこれぞトップスター!輝き!!という感じでファンの人感涙でしょ。贔屓じゃなくてもこれはもう文句なしにマジでカッコいいです。ららちゃんみねりちゃんが真風さんと絡んでいて嬉しいぞ!そしてカズキソラもきれいだぞ!もう一人のえびさまって方は初めまして。娘役さんの投げキスだのスカートさばきだの見所たくさんなのに、上からは男役がずんずん降りてくるし、なかなか娘役さんだけに集中できないのが辛いところ。

第18場B フィナーレC

まかキキのオタクを殺す気か!!ご本人たちも唯一の絡みの4小節と仰ってましたが(by宝塚グラフ)、ファンにとっても大変ありがたい一瞬です。ほんと秒なのに、肩を寄せあって見つめあって微笑むだけで伝わる信頼感よ…。本当に芝居では絡みがなかったね…。いやなくていいけど…。

この場面をクリアポスターにして売り出しましょう!って言った人、ボーナスもらった方がいいと思う。気がついたら売り切れていた。悲しい。

階段でのキキずんの対象的な表情(笑顔と挑戦的な顔)、毎度どっち見ていいか迷う。銀橋にオラオラしながら来てくれて、「殴り~蹴られ~逃げて~」をあんなにカッコよく決めてくれたらもう言うことないです。アレンジ最高。あれは…音楽的にはどういう種類なの…。後ろはピアノなの…知識がなくて使ってる楽器すらわからん。詳しい人教えてください。ブロードウェイの作曲家も付して拝んでいると思います。CD聞くと1人ものすごい巻き舌でおらついている人がいるけど誰だろう?

第18場C フィナーレC

The Neva flowはキキちゃんを見たいのに、どうしてもずんららを見てしまうよ~!!だって円盤には残らないだろうから~!!ずーっとニコニコしてるららちゃんと、ららちゃんと目線が合わない時まじで「俺の女」みたいな顔してるずんさん。いや誰も取らないから!笑顔からの切り替えにものすごい圧を感じる。顔を首筋に寄せるの、他のカップルもやってるんですか?観てないからわからない…。

個人的には上手側を観ておくと、ずんららもキキちゃんもあきもさんもいい感じに観られるのでそっちばかり観ていました。俺得。でもそうすると下手のみねりちゃんが見えないんだわ…。なぜ人間の目は2つしかないのか…。

第19場 フィナーレD

まかまど解散なんて嘘だろ~!!!鼻ツンは、劇場であっタカニュで観たやつだ…と進研ゼミの面持ちになった。本当に間に合わないことあるんですか?あれ。水色~紫の淡い色のドレスが、円形にふわっと広がるのがものすごくきれい…。一番重い衣装らしいけど(by宝塚グラフ)、全然そんな風に見えない。そしてラストの銀橋でのバックハグ!畳み掛けるような一連のシーンが大好きです。

第20場 グランパレード

パレードめちゃくちゃいいです。絶対泣きます(突然語彙力が失せる)。なんたってアナスタシアは全体的に曲がいいのでね。手拍子も指がちぎれるほどしちゃうってワケ。home,love,family…

総じて今回、フィナーレの出来が死ぬほど良くないですか?スカピン星組のフィナーレも好きなんだけど、それを超えて一番好きかもしれない。

 

なんとなくお察しかもしれませんが、私はもともとそこまでまどかちゃん推しというわけではありませんでした。宝塚箱推しなのでトップコンビは基本みんな好きだし。歌うまだけど、今一つ魅力がピンときていなかった。

でも、アーニャの強さや気品をばっちり見せてくれて、真風ディミトリとの相性もぴったりで(真風さんも今の5人で一番ディミトリが合っている)、今の5組でアナスタシアをやるなら宙組だったんだなぁ…とつくづく思いました。他の4組のアーニャも考えてみたけど、強いていうならさくらちゃんとかかな?くらい。

公演中にいろんな発表があって、宙担の皆さんの心が千々に乱れたことは想像に難くありません。星担の私ですら衝撃を受けたもんな…。まかまど体制の集大成にふさわしい大作だったと思います!円盤とCD買ったよ!これからもたくさん見返すよ!そして、今後も宝塚で長く再演されることを願っています。

でもやっぱ梅芸オタクとして言わせてほしい!梅芸も円盤とCD出してください!!今回の記事も記憶を捻り出しながら書いたけど、結構きつかった。変に曲を分けないで、ちゃんと全員網羅できるやつがほしいな!!!!next timeまでオタクは待っています!!よろしくお願いします!

 

そして、せっかくなので大劇場の公演メニューを。おいしかった。
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アナスタシア大千秋楽の配信チケットまだ買えますよ!!!私はこれから映画館に走ります!皆観てくれよな!