今日、お日柄もよく

心浮き立つ遊びがしたい

心を解き放つとき(9/20 SMOKEソワレ配信)

内海海(ややこしいな)の千秋楽を配信で観劇しましたー!

2019年東京芸術劇場での〈超〉石井一孝〈海〉藤岡正明〈紅〉彩吹真央という組み合わせ以来2回目のsmoke。正直初見は「歌はめちゃくちゃいいけどストーリーが???」という感じで、リピートはしなかった。人の感想を漁って初めて「不遇な幼少期を過ごし、作品は周囲に理解されず、生きる場所を変えて収監もされた詩人が、一度挫折して再び立ち上がろうと心の中で葛藤する話」だというおぼろげな理解を得ました。

ただ、そう決めつけていい話なのかもよくわからない。明示されないものが多いので、人によって受けとる感想もかなり違いそう。それこそ煙のように掴めない話だなぁというのが率直な感想でした。smoke愛好家を愛煙家と呼ぶそうだけれど、まだその域には達せていません。でもこの曖昧さが癖になる気持ち、わからなくもないな…。

しかし今回は2回目ということもあり、上記のストーリーを頭に入れて見たので初見よりだいぶ楽しめました。あと、配信なので感想を書きつつ頭を整理しながら観られたのが大きかったかも!

キャスト…〈超〉山田元〈海〉内海啓貴〈紅〉木村花代

 

【ネタバレ多数の感想メモ】

・縛られてからずっと弱々しい紅が、超と対峙して「コーヒーでいい?」って急に切り替えるところゾワゾワする。全部お芝居だったの?花代紅は超に負けないようにしているし実際対等くらいの存在に見える。キューティーブロンドが懐かしい。初見はお母さんか?と思っていたのだけど当たらずとも遠からずだな。

・海は何も知らなくて、本当に子供みたい(主人公が責任を別人格に投げ与えて子供に戻った存在だからね…)

・「思い出すんだ、どんな関係だったか」自分で言わないで、思い出させようとするところに若干憎しみを感じるような。超もまた海なのだけど、彼の行動原理は「お前が自分でやれ、俺にやらすな」ってことなのかな。

・超も紅もゲホゲホ咳き込むんだよね(恐らく肺病の比喩)

・「全部削除しろという印だらけ」検閲のことを指してるのかな。

・しかしカメラワーク大変だな!!!3人を次々切り替えつつ、後ろで何をしているのか、歌を聞いてどんな顔をしているのかを写さなきゃいけない。

・戦う人が~のナンバー、すごく力が要りそう。なんて早口なんだ。

・「でも、終わらせることはできる」紅が海を苦しめるっていうのはどのことを指しているんだろう?辛い気持ちなんて忘れてしまえということ?

・「大人の中に子供の心を閉じ込めている」

・「海に行けば夢が叶う。そんなのは嘘だ」この辺の超が何を考えているのかよくわかんないところが怖いんだよなぁ。まあ最後まではっきりとした思考回路は明示されないのですが…。山田超の均整のとれた体つきと、序盤は表情を押さえている感じが人間離れしているからでもあるのかもしれない。

・「誰も僕の異常な作品を理解しない!」

・「やめろー!」

・狭い部屋の中にスモークが立ち込めて、壁に瞳が写っていたような?気のせい?

・超と紅の正体が(うっすら)露見する。君たちは僕だったのか。一気に不穏さが増していく。台詞のやりとり、連続する歌、すごい熱量だ。

・紅とのやりとりのBGMがかっこいい。ピアノがいいんだよなぁ。

・しかし、芸術劇場の鏡の表現とは全然違うような気がするなあ。あんまり思い出せないけど、同じ客席が取り囲む配置でも三方だけだったような…?少なくとも机にレーザーではなかったんじゃないかな。もっと大きな鏡で、紅がドンドン叩く姿が正面から見えたはず。

・とどのつまり、心の奥に引きこもる話なんだなあ。

・「お願いよ行かないで捨てないで」捨てないで、が紅が人ならざるものであることを想起させて、特に痛切に響く気がする。

・「僕の恋しい気持ちであり愛情であり憎しみであり憎悪の塊だった」

・「母であり姉であり、苦痛であり絶望であり死そのものよ(同時に夢、希望、命でもある)」

・「私を抱きなさい。抱き締めて生きていきなさい」

・紅は海が捨ててしまった袋、本当は大事に持っていないといけない感情なんだなぁ。だから紅は「私を思い出して」と言うし、超は「お前を傷つける」というけど、海は紅が誰だかわからなくて苦しんでいるだけのように見える。

・初見は超がすごく怖かった印象があったんだけど(ずっと怒ってる、最後まで海と対峙する、再度入れ替わろうとするから?)、今回は超も突然責任を押し付けられて困惑しているんじゃないかな…と思えた。山田超は責任とか義務の擬人化に見える。最初は海みたいに紅と元恋人なのかな?なんて思っていた時が私にもありました。

・超は海の「海に行きたい」という願いを無理矢理叶えようとすると見せつつ、本当にしたいことは自分が何をしたか思い出させたかったんだよね?でもその場合、紅にはいてもらった方がいい気がするから誘拐してきたと解釈しました。いや、全ては心象風景の世界の出来事なんだけどね…(再び理解がめちゃくちゃになる)

・「ごめんね、超」からの横に向かって銃弾を放つあきよしくんの表情がかっこいい!

・最初超を撃っちゃったのかなーと思ったんだけど、キムヘギョンは海の姿になっている。「もう一度入れ替わろう。今までいろいろ背負わせてごめんね、超」ってことかな。利き手が変わっているとか、全然気がつきませんでした。設定が細かい。

・ちなみに、海一人の場面で残りの二人はどこに隠れてるんだろう?現地じゃないとわかんないなー。

・「肺病病みの思想は危険ではないらしい」セリフ回しが、もはやおどおどしてた海とは別人のようですよ…。

・保釈だ!(唯一直接的な救いっぽい描写。史実とは異なるのかな…)

・「剥製になった天才」やたらと出てくるこのワード。天才になりたいけどなれない人に、たぶんこのミュージカルは刺さるような気がする。正直、思い当たる節がない人の方が少ないかも。つまり万人受けする話なのでは…?!(突然の飛躍)

・「僕は僕の夢にたどり着けるだろうか」このあたりから一気に高揚感が増してくる。独白のセリフだけでお客を惹き付けられるのはいい芝居の証。

・「私は翼がなくても飛べるだろうか」

・「青だろうか、それとも漆黒の闇だろうか」

・「行くと決めたら最後まで行こう」

・「君たちがいなかったら、僕は何も書けなかっただろう」

・「書き続けよう、理解されようがされまいが。僕たちだけでもそれを愛してあげよう」この台詞大好き。海は作品を蔑ろにしないことを誓い、超と紅を忘れず心にしまっておくんだなと思わせる。僕たち…。

・「ひたすら書き続けよう。焦らず、堂々と」前回観た時よりだいぶ刺さるなぁ。それだけ私が挫折を経たということかしら。多少ものを書くようになったからなのかしら。今回のsmokeは素直に観ていて自分も頑張ろうって思えるぞ。ちょっと自己啓発っぽい内容にかもしれない。

・一欠片のメロン、は正直「遠国に嵐~」が想起されてちょっと笑ってしまった。

・「人生の終わりに甘いものを食べたくなるのはパラドックスだから」そうなんか…。

・「アイロニーを実践してみるのもいいかもしれない」

・「翼よ今一度 僕に生えろ」

・「もう一度だけ飛んでみよう」照明がパッと落とされて、あきよしくんの顔がフッて消える瞬間がよかったな~~~~。

 

いや~、あきよしくんの海本当にはまり役だったな。変貌する役が上手いということがわかったので、ぜひいつかスリル・ミーの「私」を演じてほしいです。あ、その時加藤和樹さんは「彼」でお願いします!

短くてメロディーがきれいという意味では観やすいし、しかしストーリーが難解なので人に進めにくいな~と思っていたんだけど、思ってたより多くの人に刺さりやすい作品なのかもしれない。配信観るか迷ってたんだけど、観て良かったです。内海海で円盤出たら買っちゃうと思う。というか、感想書いててどんどん好きになっている気がするぞ。観るタイミングって大事なんだな…!

当たり前過ぎて書いていなかったんですが、キャスト3人とも驚くほど歌が上手いので、やっぱりそれだけで観る価値がある。ただ、曲は難解すぎて細切れにしか思い出せません。ずっと緊張感のある芝居だし、芝居の声では激昂しつつかなり早口で感情を叩きつけつつ、歌も全力で取り組まなければならない…ので、演じている側は本当に大変だと思う。でも観ている分には楽しいです。しんどいけど。今回は残念ながら都合がつかなかったけど、次回はぜひ現地で観劇したいな!

大きく羽ばたいて…!!!!

あきよしくんのご挨拶で、山田さん名前をド忘れする?事件がありました笑 そしてフルーツパーラーゴトーでコラボパフェが食べられるという素敵コラボをしていた!これは並びたくなる。またやってほしい。

推しが誉められていると嬉しい。

山田さん、もしかしておもろい…???

観劇したキャストじゃないけど、まさしさんのsmoke評がとても好き。

よしの浸透率たるや。

結局smokeの感想って、これに尽きる気がする。