推しが役替わりでがんばってるし応援だ!と思って、ブックレット付きのSS席で観てきました~。ぶっちゃけブックレットはもうちょい内容が欲しかったけど、見やすいお席だったので16,000円の価値はあったかな。改めて書くとやっぱり高いなぁ。
日本初演にご縁のある男こと加藤和樹さんなので、今回も円盤になるかしら。どうやらネタバレを踏むと結構危なそうな話なので事前知識なしで観に行ったんですが、たぶん正解だった。ちなみにこの感想では核心部分のネタバレをします!
【1幕メモ】
舞台のセットが良い!ほとんど同じ舞台設定の宙シャーロックのものより奥行きがあって、より魔都・ロンドン感が良く出ていたように思う。
どこからか走り込んできたアンダーソン刑事が、タイプライターに向かって報告書を書くところから物語はスタート。誰々~とオペラを向けたら推しだったので焦りました。か、顔がいい。
キャラクターたちがわらわら出てきてもMay'nさんのお顔がわからなくて困ったけど、歌い出したらお声でわかったわ笑 それにしても菅谷さん演じるマダムの歌がうますぎるから、てっきりネームドキャラかと思った。朝隈さんの回想の刑事にも言えるけど、目立つモブは名前くらいつけてあげたらいいんでは…。
序盤はコカインが切れてイライラしがちな和樹さんアンダーソンと、メチャクチャ絡んできてうっとうしいまりおさんモンローのターン。なんだろう汚いルキーニみたいな…。基本罵りあってるし、ぶっちゃけ観てて楽しくは、ない笑 こういう下品なまりおさんは新鮮だった!
仕方がないのでずっとうんざり顔の和樹さんを眺めていた。薬中の演技がうまいな~。なかなかたばこに火をつけられなくて、大きな紙を燃やしてから移すところは本物の火だったので火傷しないかドキドキしてしまったよ。
アンダーソンとモンローが出会うためだけなら、キャバレーのカンカンシーンは要るかなぁ?ロンドンは下品な街という一面もあってジャックを見世物にしていることを表したいんだろうけど、あんまりこのシーンは乗れなかった。
エリアンナ演じる娼婦のポリーは元恋人なのか!でもどうせアンダーソンが適当にしてて自然消滅したとかでしょ。そういうとこ気が利かないんですよ彼は。わかります。そんで別れたあとますますコカインにのめり込んだに違いねぇ(したり顔)
しかしたつなり全然出てこねぇな、もしかして出る回間違えたかしらと思ったら、めっちゃ唐突に「僕は犯人を知っていますーー!!」と叫んで出てきたのでびっくり。ほんとか?そして話は7年前へと遡る…。
医学生なのか?何歳?キラッキラ笑顔でおそらくウブなたつなり、ま、まぶしい。さすがダニエルロマンチスト~とか言われてるから、友人たちの方が世間慣れしてそう。そんでまぁグロリアに惚れるのが早い!ほぼ一目惚れ。早すぎてロナンもビックリですわ!!これもテンポのためなのか。
相手の手を胸に寄せてキラキラ笑顔のたつなりや、「あたしは毎日ここにいる」「じゃあ、毎日会える!」のピュアピュア~なやり取りはかわいいんだけど、さすがにお互いのこと知らなさすぎやしないか?!しかし、擦れてるかと思いきや意外にグロリアも結構ノリノリで、即いいムードの曲が始まってしまうんだなぁ。普段の生活に全く現れないような人間、しかもわりと善良なので、一筋の光みたいに見えたのかな。
からの、一緒にアメリカ行こう!でもっとマダムや娼婦たちに邪魔されたり、足抜けを止められるかと思ったらみんなスルーしたりお花をくれたりしてえっ、親切…うそやん…。思えば冒頭から娼婦が殺される度に、仲間の誰かが遺体にすがったり近づこうとしたりするシーンがあったから、彼女たちの連帯感はあるのかな。
しかしこの手のボンボンが言う「身分は関係ない!一緒になろう!」がうまく行く訳もなく、グロリアは裏切りを知ったジャックに家を放火されてしまうのだった。ここでは刺殺しないのね?燃やして殺すのはなんか意外。後々への伏線?
堂珍ジャックは目力がすごくて、絵本に出てくる『悪いやつ』をそのまま姿にしたようだった。娼婦の喉を掻き切る殺し方は見ていてウッと痛くなりそうに思えたし、どこからともなく不意に現れそうな怖さがあって、ダニエルをそそのかすところも悪魔みたいだったな。しかし、ダニエルの場合は自らの願いのために遺体を求めているので、元々倫理観は結構ヤバいからそそのかされたとは言えないかも。
とにかくド派手な見た目といい、全く人間味はない。ただぶっちゃけジャックがね、なんで人を殺しているのかが全然わかんないんですよね。凶悪犯だからと言われたらそれまでなんですけど、もう少しバックボーンが欲しいなぁ。血飛沫を新聞紙で表件しつつ、それが床にそのまま残っている演出はよかった!
あと、ちょっと出てきた「教授」って誰?ダニエルの教官ってこと?よくわかってません。あと、グロリアが仲介してるのはお金を稼ぐためなんだよね?ダニエルに話しかけられた時、周囲から聞かれないようにしてたもんね。正直その辺も説明が欲しいなぁ。
ぶっちゃけ、ダニエルもしくはアンダーソンがジャックとグルか、または死んだジャックの名を騙って殺人してるかどっちかでしょー。
取り急ぎ、一幕約一時間だからサクサク進んでいいね!
【2幕メモ】
2幕の方が断然よかったですね!
時系列が巧みに入れ替わる構成は面白かった!分かってくれば「あ~そこに繋がるのね!」と得心がいった。初見で分かりやすいとはあんまり思わないけども。
・冒頭の息せききって駆け込んできたアンダーソンは、最後に冷凍庫を爆破して戻ってきた直後。
・ダニエルが突然「僕は犯人を知っています!」と飛び出してくるシーンには、ダニエルの回想を経て再び戻ってくる。
全体を通しての感想としては、加藤和樹がまた非常~~に加藤和樹らしい役をしていた。「この街が嫌いだ」と何度も歌いつつ、その実街の治安を守るべくわりと体を張ってがんばってるのに報われないし、好きな人はみすみす殺させてしまうし(いや作戦を説明しろよ!とはなった)、ただ一人事件の真相を知っているのに隠し通さなきゃいけないし…。アンダーソン警部いい役だったな!!!!悪徳警官かと思っていたら、作中人物ではかなり善人寄りでしたね。善人ではないが、良心と正義感は少しだけ残っているというか。薬はやってるけど。
辛い表情の演技が超~~好き。特に、短いけれどポリーと再会して、灰の降るなか背中合わせにデュエットする場面が刹那的な幸せを感じさせてよかったです。
ポリーがアンダーソンに「頼みがある」って言われてすぐ「いいわ」って答えたところ、ああまだ好きなんだな…と切なかった。ひたすら酒をあおる彼女に何も言えないアンダーソン。きっと負い目があるのね…。
ジャックザリッパーの脚本はキャラクターの詳細がほぼ描かれていないので、何があったのかは想像するしかないんだけど、アンダーソンはポリーにとって恋人だけでなく父親代わりであり庇護者でもあったんだろうなぁと。こんなに未練があるなら、なぜに別れたし!
目印の赤いバラを差し出して説明しようとするも、喜ぶポリーに何も言えなくなってしまうのは人間味があったなぁ。でもそこは刑事として言ってくださいね!?作戦中にダニエルとポリーが話している時、隣の人が舞台の奥をガン見しててので思わずそっちを観たら、アンダーソンなんちゅう顔で2人を見つめてんの…。ポリーのことめちゃくちゃ好きじゃん…。
ていうかダニエル、ダニエルおまえ。研究所に戻ってくるなり「手が赤い(手袋かなんかしてて本当に赤い)」と言い始めた時はオッ!て思いましたよ。やっぱり7年前のジャックは死んでて、グロリアのために!とジャックを騙って殺人を繰り返してたんだな。正直そこまで意外性はなかったので、2幕も短いのは良かったと思う。というか、2幕がめちゃくちゃスピーディーなんですよね。僕と俺が交差する歌いいなーと思ってたら、エンドロールでも歌ってたね。ダニエルのテーマソングなのね。
腑に落ちないのは、新鮮な内蔵一個目でとっととグロリアの手術しなよ?!ってことだったんだけど、もう一度殺したら殺しの味に取りつかれてしまったってことかな…。散々Twitterで言われていたけれど、臓器を新聞紙にくるむのは演出のためかもしれないけどリアリティーはないですね!腐るぞ!
あとモンロー!「朝刊に載せてくれって念を押したのに~~!」じゃないんだよ!!!ジャックはネタ元だから、アンダーソンとダニエルと3人で組んでスクープ連発だあ!って提案、アンダーソンじゃなくても「気でも狂ったか!」言いたくなるわ。『パレード』の記者に少し似ているかなというキャラクターだったので、実は冷静になるのかと思いきや、心底やばいやつだった。金の亡者以外の何者でもない。倫理観激やば三人衆の中でも、一番おかしいかもしれない。新聞記者って得てして作中で危ないやつ(=自分のやりたいように事実をねじ曲げる)扱いされがちなような?
しかしグロリアは最後の最後で決定的な場面を見てしまって、とうとう自殺してしまってかわいそう…。いや、こんなこと言ったらあれだけど、タイミングはもう少し早いのかなと思ってた。けど自殺なんて、そんなに簡単には決意できないよね。しかもジャックの仲介をしてたくらいで、そこまで悪いことをしているわけでもないので…。謎だったのは、再会したダニエルを拒否した割にはあっさり同居?してたことですかね。やっぱり嫌いになりきれなかったんだろうか。
なんやかんやでアンダーソンが最後モンローを撃つのかと思ったら、冷凍庫を撃って驚き。爆破して全てを無に帰そうとしたのだった。まあ殺意あるし間接的には殺してますよね!!!!しかし頭殴られてるのに頑張って起きてダニエルを撃ってるあたりさすが警察官。頑丈。
グロリアもダニエルもモンローも、みんなみんないなくなって、事件は未解決に。「ダニエルの話が報道されたら、奴は哀れな殺人鬼として受け止められてしまう。そうしたら殺された娼婦たちやポリーは、物語のドラマチックな飾りにされてしまう。そんなのは許せない」という矜持は良かった。アンダーソンは終生その秘密を抱えて生きていく。物語の最後、雨のそぼふるロンドンの街に「ジャックザリッパーの事件は迷宮入りに」というアンダーソンのナレーションが入って終幕。辛い…。
【全体的な感想】
1幕後は正直う~~~~ん?って感じだったけど、2幕はスピーディーで楽しめた!ミュージカル初めての人にもわかりやすいかもしれないかな?加藤和樹のアンダーソンが想像以上にツボでもう一度見たいので、リピチケあるし追加してもいいかな~と思えました。ジャックは…キャラがあんまり刺さらなかったからな~。
ただ、よくよく反芻してみると結構脚本が甘いというか、敢えてなのかってくらいキャラクターの書き込みが薄いところが気になってきたりして、評価が自分の中でぶれているのが正直なところ。あとはあんまり印象に残る曲がなかったかなぁ。堂珍ジャックの歌とか、正直今の雰囲気にあってます?ってハイテンションな歌が多いようにも感じた。でもダニエルの「名前はジャーーック」はすごく耳に残ってます笑
カテコ後、各々が代表曲を少し歌ってくれるコーナーがあるんですが、すごくいいサプライズでした。ほかのミュージカルでもぜひぜひ取り入れてくれたらいいのになー。何回も拍手で呼ぶよりよっぽど1度でお客が満足しそう。
そして日生劇場は和樹さんやまりおさんの声で客席アナウンスをしてくれるためか、どの劇場より静かでした。まだまだコロナ禍なので、客も心構えを新たにしなくてはですね…。
【追記】
noaさん、ありがとうございます❤️🔥
— 🌞菅谷真理恵🌞『ジャック・ザ・リッパー』出演中 (@marie_sugaya) 2021年9月19日
笑顔チェックしてくれたんですね🤣
ダニエル、お友達に報告した後こっそり私のところに来て身請け金たっぷりお支払いしてくれて💰
何より2人も幸せそうだからホッとしてるんですよー💋
大事なコが娼婦から抜け出す一番いい形💃🏽
という私の中の流れ😍 https://t.co/lJ7SRZYJmx
菅谷さんマダムがこんなツイートを!ロンドンの娼婦は足抜けオッケーなんだな…!