今日、お日柄もよく

心浮き立つ遊びがしたい

せおティボルト、どうしてあなたはせおティボルトなの(星組 ロミオとジュリエットB日程)

せおティボルトめっちゃ好き
せおティボルト顔がいい
せおティボルト報われない
せおティボルトオタクが好きなやつ
せおティボルト一生懸命パリスを牽制してるのに、横からロミオにかっさらわれてかわいそう
せおティボルトぴーキューシオを刺すんじゃない(絶許)
せおティボルト死に顔もきれい
せおティボルト…

 

冒頭から思わずせおティボルトの歌を歌ってしまうくらいに、ロミジュリ星組Bパターンが良かったです。今まで圧倒的にロミオタイプのキャラが好きだったので、まさか今回自分のオペラグラスがこんなにもティボルトを追うことになるとは思ってもみませんでした。なぜなら私の贔屓は礼真琴(次点で彩風咲奈、音月桂)。見事にロミオ経験者ばかりです。なお私の親ロミオはDVDで観た2011年雪組。ウオオけいみみが好きだ!!

しかしそもそも私は礼真琴を愛してやまないオタクなのに、こんなに瀬央さんについて書いていいんだろうか。もちろんいいに決まっている(自己解決)。というわけでキャスト別感想です。順不同です。

 

・ティボルト(瀬央ゆりあ)

最初に身も蓋もないことを書きますけど、とにかく顔がいい!!いいんです!!!元々せおさんのお顔がとても好きだったんですが、いよいよ本当に好きになってしまったかもしれない。まず目がとても大きくて目力があって眼光鋭いじゃないですか。鼻もすっと通ってるじゃないですか。口の形も綺麗ですよね。全てのパーツが小顔にキュッて収まってるの奇跡では???その顔で挑発されたり苦悩されたりするとたまらないんですわ!!ずっと観ていたい!歴代では清彦さんのビジュアルが最強だと思ってたけど、ティボルトで長髪もバチクソ似合うことが証明されてしまった。

始めて観た2019年梅芸版だと、え!叔母とそんなことに?!という点に驚いて、あまりキャラが入って来なかった覚えがある。その下地があったからか、今回はすごく孤独な人という印象を強く受けました。リーダーとして慕われていても、本当に心を許せる同等の相手が身内にいなかったのが彼の不幸だなと。モンタギューたちが仲良しだからこそ、対称的で余計辛い。まぁ仲良くてもモンタギュー3人衆のうち2人死んじゃったけどな!

ティボルトを見ていると、アダルトチルドレンとかヤングケアラーという言葉が連想されます。どちらの意味とも違うのですが、要は成熟する前に周囲に大人にさせられてしまった人だなと。伯母に憎しみを捨てろと言われて「無理だよ!」と叫ぶシーン、最初ティボルトの台詞とは思えなくてびっくりした。突然子供に戻ったみたいだったけど、これは本心の現れだからなんだろう。

だからこそ「本当の俺じゃない」は、彼の苦しみが真に迫っていて聞き応えがありました。お願い!音源ください!キャピュレットの唯一の跡取りとして家を守る義務があり、プレッシャーからか救いを求めたのかたくさんの女(伯母含む)と関係を持ち、しかし本当に愛しているジュリエットには想いを伝えられなくて…自分で選んだ生き方だけど、当然1人ではどうしようもなかったこともたくさんあったんだろうなと勝手に想像して辛くなってしまう。

ここが不思議なんだけど、ティボルトって反発はしても絶対伯父上に逆らわないんですよね。この手のキャラなら、逆上して家を乗っとるとか家を飛び出すとかそういう方向にも転びそうなもんだけど。不満はあれど、そのぶつけどころはモンタギューにしかならないように育てられてしまったというか。両親について一切言及はないけど、親代わりの伯父夫婦に逆らえない力関係もあったりするのかな。ヴェローナは家族がセーフティとして機能していない街なので、どうしてもティボルトも被害者に見える。

彼の中には、「ジュリエットとは一族の掟により絶対結婚できない」という諦観があると思います。たぶんもう本能的に理解せざるを得なくて、でも諦めきれないままここまで来てしまった。パリスを牽制してみても時間稼ぎにしかならないし、いずれ誰かに取られるという結果は変わらないわけで。ロミオは死ぬのが怖かったけど、ティボルトは長生きするのが怖かったんじゃないかな。

パリスの登場シーンでは舞台の端からどんどん近づいてくるのが、分かりやすい焦りとイライラを表現していてかわいかったです。婚約話にめちゃめちゃ嫌そうな顔をしつつ、叔父に反論しつつ、かつ仮面舞踏会でしっかり妨害しつつ、でもロミオにかっさらわれるまで告白はできなかった(しようとしなかった)んだよな~!!無鉄砲なようでかなりがんじがらめの人!ロミオの方が、よほどその場の勢いでいろいろこなしている。だから彼がヒーローなんだ…。

結婚の噂を聞いて何かがぷつっと切れたような「今日こそその日」。ジュリエットに裏切られた、と歌うところに、彼のどうしようもない子供っぽさがあると思う。だって彼女からすればティボルトの愛は青天の霹靂なんだから…。ロミオの屍の前で告白したって絶対うまく行かないだろうに、そう思わないとやってられないほど愛していたんだな。すごい判官贔屓だけど、かわいそうで応援したくなってしまう。具体的にどこが好きかは明言されていないけど、あの家の中で奇跡的にピュアに育った彼女を見たら、大事にしたくもなるのはわかる。乳母の育て方が良かったんですよ。

きっと彼女のことは、粗暴なティボルトにしては本当に大事にしていて、良好な親戚付き合いだったんじゃないかな。仮面舞踏会でもジュリエットから駆け寄って来てかばってもらってたりしたので、普通に信頼関係はあると思う。じっくり時間をかけていけば、禁断の恋ルートもワンチャンあったんじゃなかろうか。でもジュリエットからの言及がなさすぎて、うまく行く方法がわからない…。

どこまでもロミオを憎んでいる割に、なぜかマーキューシオにばかり絡むのは同族嫌悪なのかな。どちらもキレやすいし今のポジションが嫌で、互いへのすごいコンプレックスが強そう。たぶんティボルトは弱いのに仲間がいるマキュが羨ましくも小賢しくて、マキュはどうしてもティボルトのほうが自分より強いと認めたくなかったのではなかろうか。「マーキューシオお前は死ぬ!」はどう考えても本気で殺す気でしたよね。

マーキューシオを刺した後、興奮したのかナイフを手に走り回ったり女たちと酒を飲んだりしてますが、内心どんな気持ちだったんだ。全然嬉しそうに見えなかった。そしてロミオに刺されてから、息も絶え絶えにナイフをぐっと突き出すのが虚しい…。死に顔も美しすぎるのでまぁ観ますよね。「僕は怖い」でマーキューシオと踊らされる場面の絶望顔も大好きです。最後まで死に利用される男…!

今までこの手のキャラに魂を揺さぶられたことがなかったもんで、正直かなり動揺しています。悪い男というにはあまりに幼く、しかし善良とも言いがたい…。そのあわいで本人も迷い、張り詰めているむやみな勢いと色気が素晴らしかったです。瀬央・ティボルト・ゆりあ、恐ろしい男(役)…!!!!

 

・マーキューシオ(天華えま)

生まれながらの狂犬ちゃんというよりも、自分の境遇を忘れるために、わざと享楽的に生きようとしている人という印象。つまりティボルトの人物評は正しい気がする。ティボルトの項にも書きましたが、お互いを嫌ってるだけあってよく理解している2人だと思うので、何かきっかけがあれば仲良くなれたような気もしてしまうんですよね…。書いていて思ったけど、オタクがめっちゃ好きなやつじゃん…。

眉毛に剃りこみ、薄紫~水色の髪の片面にクモの巣みたいな刈り上げ、おまけに鎖のピアスとチャラさの権現様みたいな格好をしてるのに、あかベンに甘える姿を見ているからか、ティボルトの全員抱いたが?感に比べると母性本能をくすぐって懐に潜り込むけど直前でひゅっと逃げる…みたいな女たらし感を感じた(自分でも何言ってんだ?とは思っている)。装飾しまくってるのは弱さの表れの武装というか。マイルドヤンキー?

ぴーマキュの歌唱レベルは歴代でもかなり上位に食い込むのでは?!と思わせる「マブの女王」が良かった。しかしマブの女王って何?と思ったら、妖精の女王のことらしい。戯曲ではロミオたちの見た夢の話がちらっと出てくるみたいです。「仮面付けりゃわからないさ」の声が!好き~!「出掛けよう~!」でちゃんと高音が伸びるのがめちゃくちゃいい!ベンマキュどっちも歌がうまいとやっぱり聞きごたえがあります。劇団さん!!Bパターンの音源も!!!!絶対欲しいんですが!!!!

キャラクターとしては、死に際いきなり「ジュリエットを愛しぬけ…」って言うのに結構違和感があったんだけど、今回はロミオの裏切りに対して怒っているようで、実はずっと心配していて、最後だからちゃんと言っておこうと考えを改めた…ように見えました。中の人のキャラを重ねて見てしまっているからか、結局ロミオのこと大好きで大事にしてる感が伝わってくる気がする。

ロミオがあれだけぽやーんとしてるのに2人が仲良くしているのは、義務があるとしても単に好きだったからなんだろうな。手のかかるぼんぼんなのは間違いないので、周囲がもっと慇懃無礼になるパターンがあってもおかしくないでしょ。こうなると、マーキューシオとベンヴォーリオがお互いをどう思っていたのかもっと知りたかったなぁ。下手するとお互いロミオのお目付け役として、対ロミオより親しいよね…?冒頭とかすごい甘えてる感じあったもんね…?2人だけの会話シーンってあったかなぁ。やっぱり夫人にお説教くらうところくらいかなぁ。

なお同時に「くたばるがいい、どっちの家も」とも言ってるんですが…。マーキューシオは大公の甥だけど、モンタギュー家からしたら食客みたいなもんなのかな。どうしてそちらについたのかは、そういえばよくわからない。でもモンタギューのリーダーって紹介されるのは、跡取りのロミオじゃなくてマキュとベンなんですよね。二人がかりで初めてティボルトと拮抗できるというか、単体だとちょっと弱いところが萌える!くぅ~!ニコイチ!

話が逸れました。マーキューシオはあくまで家同士の争いに「くたばれ」と言っているのであって、「俺は憎む、お前の家を」だし憎いのは家だけだよね…。しかし彼をリーダーたらしめているのもモンタギュー家なので、アイデンティティーはぐらぐらなんだと思います。

あと書いていて思いましたが、マーキューシオとティボルトではっきりと違うのはリーダーとしての立ち位置かな。かたやはっきりと跡取りであるティボルト、一方正式にはモンタギュー家の人間ではなく、「飼い犬」呼ばわりされて単体ではリーダー扱いではないマーキューシオ。しかも自分より強い。これはコンプレックス生むでしょう…。だからこそそこを煽っているのだろうし。雑にまとめると、血気盛んな若者がふとした弾みで死んでしまう危うさを表しているキャラクターなのかなぁ。役者の解釈で結構変わってくるキャラのような気がする。

また誠にどうでもいい情報ですが、我が家では翔け!すみれんずのせいでぴーちゃんを近江兄弟社の人と呼んでいます。お菓子好きなのかわいいね…。いっぱい食べて、星組でどんどん成長してほしい!!!

あっあと、「きれいは汚い」のイケメンポーズがP-heavenさんのナルシストっぽいポーズだったのでめちゃくちゃ嬉しかったです!!ぴーちゃんはその顔がいいよね!!!!

 

・死(愛月ひかる)

一切台詞がなく、踊ってるだけなのにあんなに存在感があっていいのか。役替わりが発表された時は正直賛否両論だったと思いますが、これは超絶はまり役だと言って差し支えないでしょう。銀髪と青いメイクがあんなに似合うことありますか。2度のTwitterトレンド入りが全てを物語っている。すげーよ表情と身体表現だけで人のオペグラを盗んでくよ…。

基本冷めた表情で愚かな人間たちを見つめているかと思えば、不穏な予感がするやいなや嬉しそうに近づいてくる…いや、死が近づいてくるから不幸が起きるのか?どちらにせよ、にやりと笑う顔にぞくぞくします。無慈悲に魂を刈り取っていくというか、人が死ぬときに口元で何かを飲み込む動きをしているのが怖い。明らかに食べている。でも人間本体には興味なくて、絶望を与えて殺すためだけに動いていそう。ヴェローナ中のどこにでもいて、常に見られているようなスケールの大きさを感じるお芝居でした。ところで、愛とはお互いを認識しているみたいだし、どちらがより人間に影響を及ぼすか競いあう競争でもしてるのかしら…。

「僕は怖い」でのロミオと息の合ったダンスシーンが見事としか言いようがない。糸で操っているような演出が好き。これが円盤に残らないのは間違ってるよ!!!!それにしても薬売りに化けたり仮面を渡したり、結構いろいろできるのね。愛とは違って結構直接物語を動かしている。まぁ喋らないトート様みたいなもんだと思って観ています。中性的だけど、どちらかっていうと男性ぽく見えるので…。銀の長髪がたいへんお似合いです。あとね~スタイルがね~メチャクチャいいよ!!!!!(あたりまえ体操)

最後ヴェローナの民が2人の死をきっかけに和解していくところでは、すごく苦しそうにしていたってマジですか?私は舞台の端で興味なさそう~に見ていたところしか覚えていなかった…。

 

・愛(希沙薫)

カツラのせいかもしれないけど、すごい礼さんの愛とお顔が似てませんか…?つまりかわいい。ダンスもキレてるし、今後注目していきたい生徒さん!暖色の衣装がシンプルなのに綺麗で、思わず目が行ってしまう。なんでしょう、露出は少ないのにすごくセクシー…。

登場人物たちに優しい眼差しを向けているし、さりげなくロミオとジュリエットを誘導して結びつけたりしているけど、ヴェローナの不幸の前では無力というか、悲しそうに見ているだけなのがリアルな神様の使いっぽい。

愛と死って対称ってわけでもないし、その二つが反発しあうって結構不思議だな…と思いました。死が憎しみ、愛が生を兼ねているのだろうな。最後は愛と死が重なりあうように動きを止めて、ロミオとジュリエットが抱き合って物語は終わるけど、最後の最後で一つになったってことなのかな?

 

・ベンヴォーリオ(綺城ひか理)

あかさん、眩耀の時はその他大勢って感じでピンと来なかったけど、ベンヴォーリオはめちゃくちゃいい!!!微妙に不良、微妙に真面目な曖昧さがすごくよく伝わります。キャピュレット夫人にいろいろ頼まれているから3人の中で一番慎重派かと思いきや、あっさり舞踏会参加を決めたりそこまで優等生でもない感じ。マキュとニコイチなあたり、絶対不良だよねぇ。もうちょい皆の手綱を握れていたら話は変わってきたんじゃないかなぁという惜しいキャラクター。皆彼の手をすり抜けて去っていってしまう。

彼はモンタギュー一族なんですよね。原作だとロミオのいとこなのか。設定かぶるからもう少し別のにしてもいいのに…(シェイクスピア御大に文句をつける)。親友設定を噛み締めたいので、3人の力関係をどうかもう少し教えてくれ~!まずは全員同い年だと思ってていいんですか!あと、モンタギュー家は舞台としてまっっったく出てこないので、どういう風に暮らしているのか全然ピンと来ない。ベンヴォは親戚だしロミオと同じ家に住んでてもおかしくないかな。本当はメンタル的にマキュこそ一緒に住んでてほしいけど、たぶん違う家に住んでるよなぁ…。

そこまでティボルトに目をつけられなかったからか殺されなくて、ロミオのことも最後まで追わなかったから(もちろん案じていたけど!)、たまたま生き残ってしまった人。友達のいないヴェローナで1人生きていかなきゃいけないのかと思うとかわいそうすぎる…。マーキューシオと2人でやんちゃして、それをロミオがやれやれ…と観ていたり、ロミオの恋に2人がショックを受けていたり、常にどちらかとニコイチで行動していたので余計に。

「どうやって伝えよう」は安定のうまさ。毎公演どこかしらで裏声アレンジっぽいことをしてくれるので、余裕を感じられてよい!パリスはきっとめちゃめちゃナルシストに仕上げてくるんではなかろうか。

 

・乳母(有沙瞳)

有沙瞳さんは星組に今後も絶対必要な人です!!めっちゃ好き!!!

「パリス様に比べたら、ロミオなんざ雑巾ですよ!」という台詞、最初はジュリエット同様なんてこと言うんだと思っていたけど、友人に「敢えてそう言ってるんだよ」と諭されてようやく気付きました。ごめん乳母…。よく見たら言う時めっちゃ苦しい顔、腹をくくった顔をしているね…。

本当にジュリエットを大事に育てて来たんだなぁということが説得力を持って伝わってくるお芝居でした。「私にありがとうなんて言わないで」に込められた切なさと愛しさよ…。いつもきれいに下がっている眉毛が天才だわー。お顔がかわいいから正直おばちゃんには見えないけど、声色や体型はすごく繊細に作り込まれていると感じた。設定は50代くらい?「私はまだ男が好き」で周囲が驚いているので、当時からしたら結構歳いってるってことなのかな。

もちろん歌も抜群!「結婚のすすめ」のテンポの良さ、「あの子はあなたを愛している」のこぶしの効いた歌い上げ方、「神はまだお見捨てにはならない」の鼓舞する力強さ…。「きれいは汚い」でマキュに壁ドンされていたり、最後ベンマキュにハートマークで囲まれているのがかわいかった。「ピーター!」がいちいちドスが効いてて好き。

ちなみにシーンでは「明日には式を」が作中1,2を争うレベルで好きです。まず前奏のバイオリンが緊迫感を高めていていいよね~。キャピュレット卿・夫人がジュリエットの気持ちを全く慮らないのに対し、ショックを受けたり心配そうな顔でジュリエットを見やったり。最後は卿に何か言いかけそうでぐっと飲み込んでしまったよね。どっちが本当の親なんだろうと思ってしまいます。彼女からしたら割りきってパリスと結婚した方が幸せになれるだろうと踏んで勧めたのに、結果自殺してしまうので、ショックもひとしおだと思います。墓地でも崩れ落ち方が一番大きかったような。

 

・パリス(極美慎)

ちゃんとティボルトのお悔やみにも来るし、意外と嫌なやつではないのでは??と思わせるパリスでした。この顔でちゃんと愛を囁いたらワンチャンあったかもしれん。でもイケメンなのは間違いないんだけど、なんとなく結婚したいかっていうと、ちょっと…。

親への挨拶はしっかり?してるけど、舞踏会では「僕と踊るんだ!」と強要したり、あくまで名家の家柄目当てなんだろうな。歌劇のなりきりインタビューでもそんなことが書いてあったような。それともジュリエットはヴェローナでも有名な可愛い子なのだろうか。それならマーキューシオ当たりがロミオに話してそうだけど。やっぱり、どこの誰とも知らずに恋に落ちるロミオが1番だよね!

弔問客なのに「明日君の式を」と言われ「ヴェッ?!」とカエルみたいな声を出していたのが面白かった。イケメンがそんな声出すな。そしてすぐ「よろしいのですか?」ってグヘグヘ嬉しそうになっちゃうとこ!そういうとこだよ!よく覚えてないけど、最後の墓地に来てはなかった…よね?ちょっと薄情なと思ったり。見落としてたらごめんなさい。

 

・キャピュレット卿(天寿光悕)

・キャピュレット夫人(夢妃杏瑠)

なんてキャラの濃い夫婦!毒々しい?赤い衣装がよく似合う。キャピュレット卿は「夫を愛したことなどないわ」を暴露されても「冗談だろう」と返すのが意外だった。妻は自分を愛していると思ってないと出てこないよね?この台詞。それとも実は激おこなの?

終盤突然「娘よお前のためなんだ」みたいに歌われても、自分勝手さが散々示された後なのでちっとも心に響いて来ず。彼なりに娘を思っての行動なのかもしれないけど「私の年齢も知らないのよ!」って言われてるし気迫な関係なんだろうな…。あ、天寿さんはイケオジでしたよ!剣を抜くあたりはかっこよかったよ!

一方、夫人はかなり重要人物だったなー。恐らく家に縛られていて、本当は自由になりたかったはず。でも年月を経て、いろいろ諦めてどうでもよくなってしまったんだろうな。退廃感が漂って、色っぽかった。髪型とひらひらした髪飾りが好きです。肝心の歌は調子崩してたのかな~。

ティボルトとの情事は、ティボルトがかなり嫌がっていそうだったので絶対伯母からだよね…。年長者からの搾取を感じた。2人の共通点は諦めかな。せおティボ、ジュリエットとは結婚できない!もういい!って絶対ヤケクソになって関係を持ったでしょ。でも代わりにはならないし、どんどん嫌になっていったんだろうな…。

一方夫人は嫌がられているとは思ってないし、どうして私に冷たくてジュリエットを気にするのよ!って感じで、ティボルトの気持ちは全く理解できていなさそうだった。ジュリエットのことは愛している…のかな?「お母様がそんなことを仰るなんて!」から察するに、普段は比較的いいお母さんなのかなぁ。娘なんてこんなもん、ってなめてると言うか、ちょっと義務感で会話してる感じはあったけど。いや乳母に任せきりだから子育てはしてないのかな?

なお愛したことなどない割に、夫には逆らわないイメージ。パリスとの結婚式の話も、驚いた次の瞬間「お父様と決めた」とか言ってるし。時代設定的に女はもの申せないのかな。ところで子供がいなくなってしまったキャピュレット家はこの後どうなってしまうんですかねぇ。

 

・モンタギュー卿(美稀 千種)

・モンタギュー夫人(白妙なつ)

モンタギュー卿は影が薄かったな~!いつも大公に呼ばれてようやく出てくる感じ。キャピュレット卿は火遊びしてたけど、彼は何をしてたんだ…?仕事?ロミオともほとんど絡まないし、妻とは不仲ではなさそうだけど寄り添ってもない。ネームドキャラにしてはもう少し見せ場があってもいいんじゃないかな~。歌も特にないよね?!

一方夫人は、序盤から改心の兆しを見せているというか、大人たちの中では唯一子供たちの争いにしっかり目を向けて憂いている。しかし「過保護な母親だ」って言われてる割に、ロミオに説教は特にせず。ベンヴォーリオ任せじゃなくて自分からコミュニケーション取ってればなぁ。

キャピュレット夫人も同じく憎しみを憂う歌を歌っているけど、彼女はティボルトに執着しているので、終盤まで憎しみに囚われている方かなと。墓地でいち早く息子たちの死から立ち上がり、両家の和解を訴えるあたり、この人が今後のヴェローナをまとめていくのだろうな…。お歌はいつも通りの安定感がありました!

 

・ロレンス神父(英真なおき)

詰めが甘いんだよ詰めが~!!!と思わずなじりたくなってしまう笑 ロミオとジュリエットに対して「そんな無茶はせず、おとなしく親の決めた相手と結婚しろ」と言わないだけ良い大人だなと思う反面、もう少し先を見据えてサポートしてあげて欲しい。どうなるかくらい想像つくでしょ~!一貫して2人の味方をしてくれる頼りになる大人だけに、本当に惜しい!ロミオとは昔から知り合いみたいだけど、ジュリエットは深層の令嬢だから直接お話ししたことはなかったのかな。

 

ヴェローナ大公(遥斗勇帆)

「真実を!」の台詞が印象的。真実を求めているけど、人に聞いてばかりであまり当事者じゃないんだよなー。しょうがないかもしれないけど、ことが起きる→慌てて出てくるの繰り返しで。もう少し街を憂う場面があるといいんだけどなー。歌唱力は実力派だな!と思いました。

 

・ピーター(輝咲玲央)

・ジョン(天路そら)

正直、あんまり役代わりする意味がわからなかった…。特にジョン。出番少なすぎるよね?!ピーターはおつむが弱いというか、きれいは汚いでマーキューシオにくるくる回されているシーンが印象的。役にたたない系従者。感想薄くてごめんね…!

 

・ジュリエット(舞空瞳)

強い!このジュリエットは物語を動かすわ。直前のインタビューで礼さんが「ロミオはジュリエットに影響されて動く」みたいなことを語っていて正直腑に落ちなかったのですが、こういうことか。美海ちゃんのジュリエットとは全然役作りが違う気がするな。バルコニーに来たのは偶然だしロミオの意志だけど、パリスを拒否する、ロミオに結婚式を挙げるための使いを出す、神父に頼んで薬を飲むなど、彼女の意志が確かにロミオの行く先を定めてゆく。

舞踏会の衣装は最初写真で見た時ちょっと美少女戦士っぽいな…と思ったものの、舞台で観ると特に違和感なし!エメの赤い衣装は先行画像からめちゃくちゃ好きだったけど、生で観るとさらにかわいい。少女からの成長を示すような、やや大人っぽい衣装だと思います。透けてる赤かわいい。手首に薔薇がついてるのもいいよね~!エルアルコンでも思ったけど、歌が如実にうまくなっていらっしゃる。努力が形になって視える人って、応援せざるを得ない。

舞踏会も最初階段の上ではなんとなく笑顔でワクワクしてそうなんだけど、実際パリスを見たら嫌になったんだろうな。ロミオとぶつかって「あ、ごめん…」みたいなシーンのどきどきしている表情がリアル。おずおずと手を触れ合う場面の初々しさよ…。ロミオは遊びならば何人かと付き合ったようだけど、ジュリエットは下手すると初恋なんじゃない?

自分を待ち受ける境遇に絶望はすれど、絶対弱気にならないのが舞空ジュリエットだなと。「さぁ朝よ!私の命を奪うがいい!」は悲しみより怒り、憎しみが勝っているように感じました。それにしても「今行くわ!!!!」が笑いをとるシーンになるとは誰が思っただろうか。どんどん語尾が激しくなるので、このジュリエットは16歳になる前も親には反抗してたでしょ!

目覚めてロミオの死を知って愕然とする場面でも、悲しみながらも同じ場所に行くために必死だし。ロミオの胸に耳を当てる姿が痛々しいけれど。「約束通り愛の城築くの」がエメのリプライズになっていて、観客からすればどだい無茶なこどもっぽい約束でも、2人にとっては大事な誓いだったんだな…。

強気な台詞回しが多い(乳母の影響?)からこそ、ロミオとのシーンでは声色が優しくなったりするところがギャップがあっていいのかな。天国では満面の笑みでクルクル回っていて、ようやく幸せになれたのね…。抱きつく笑顔が本当に嬉しそうで良かった。ロミジュリって一目惚れからすぐ死んじゃう話じゃんと思っていたけど、すごく情熱的な恋の物語(ただし諸々のタイミングは最悪)なんだなと思わせてくれました。

 

・ロミオ(礼真琴)

星組ロミジュリが発表された時、絶対最高だろうけどこれが思い出新公枠というやつなのかしら…とかなめ腐ったことを考えていたのですが…お黙り!ロミオは礼真琴のためにあるんじゃい!!!というようなスーパーはまり役でした。三拍子揃った、と簡単に感想を終わらせてしまいたくない。先行画像は一目見て「なんて透明感のある2人なのでしょう…」と感動。スマホの待ち受けにして見るたびにやけています。かっこい~。かわい~。

歴代ロミオの盛髪と全然違うふわっとウェーブがしっくり似合う。青い衣装も素敵。こぼれる光の中からそっと登場するシーンは「いつか」のメロディーも相まって派手ではないけれど、紛れもなくこの人が主役なんだとビシバシ伝わってくる。タンポポをふぅっと吹いて柔らかく微笑む姿は、本当にこないだまでエロい声で「ウィですか、ノンですか」とか迫ってた人ですか?!演技の幅のメーターが振り切れそうな贔屓に乾杯!!!!銀橋で舞台のジュリエットと重なるような演出が好きです。

ロミジュリの代表曲といえばやっぱり「エメ」かな~と思っていたんですが、観劇した結果「僕は怖い」がぶっちぎって印象深かった。死に操られるように踊りながら歌う「君が爪弾くギターの音色」の一節が頭から離れない。ヴェローナには常に色濃く死の影が付きまとっているけれど、ロミオがこんなに怖がっているから、逆に死を招き寄せているんじゃないかと思えました。その割に結婚に向けて突き進んだり、結構明るい未来を夢見てるじゃんとも思ったり。リプライズの高音の伸びは一体どうなっているんだ…?!どこまでも成長し続ける礼さん…一生ついていきます…。

バルコニーのシーンを初めて観た時は、2人の背景にはっきりと(死)という文字が浮かんで見えました。我ながらニコ動みたいな衝撃の受け方をしている。戻ってきたジュリエットに不意打ちでキスをして「おやすみ…」と去るシーン、囁き方が優しすぎる。出会ったばかりだけど、ジュリエットへの愛しかない。超かっこよかった。これはいかんこれはたまらん死ぬ…。いや~あんなことされたら夢中になっちゃうよ。暗転してもジュリエットが「きゃ~!!!」と小芝居を続けているのもすごくかわいい。

先行画像がドンピシャ好みなので、エメのシーンは文句のつけようもありません。ジュリエットを待ち受ける時の優しい顔…。秘密の結婚式のこの荘厳な雰囲気が大好き。なんて幸せそうな2人。でもこの、愛してるし、パリスと結婚させられる前にとりあえず結婚だ!という焦りも含む何も考えてなさがつらい。だって、キャピュレット卿みたいに「バレなきゃ重婚させてまえ!」みたいな考え、両家ともすぐ至りそうじゃない?2幕から察するにロミオ、結婚してからも特に何もせずぽやんぽやんしてたんだろー!

「街に噂が」でものすごい不穏な顔つきの親友たちに平気でやぁ!とか言っちゃうあたりまさにそんな感じ。恋に全力というより、「ジュリエットを愛する」ことが突然すぱっと人生の最重要課題になってしまったと言うか。今までの自分とは変わるよ?と誰にも説明せず、しかし普通に皆のことは変わらず大好きだよ!という「わかってくれるでしょ?」感が坊っちゃんなんだよ~!とはいえ、ロミオは元々両家の争いにそこまで荷担していなさそうだからやむなしなのか…。でも親友2人からしたら、どうしちゃったんだよ!元に戻ってくれ!となるのもわかる。

戻ってきてみれば自分が発端でマーキューシオとティボルトが本格的に争いを始めており、間に割って入るも自分の不器用さのせいで親友を死なせてしまう…。でもあそこ、止めに入らないわけには行かないよねぇ…。唯一の救いはマーキューシオが最後にロミオ個人には恨み言を言わなかったことかな。やっぱり親友だったんだよー!!ウワー!

呆然と友人を看取り、ふと見ればそこには彼の命を奪ったナイフが。衝動的に握りしめ、叫びながらよろよろと近づいていき…「ティボルト…ティボルトォーッ!」の絶叫が、不穏な音楽とベストマッチで観客の胃を痛め付ける!刺した瞬間の我にかえる表情と、ベンヴォーリオの絶望した顔のコントラスト!太公のお沙汰のシーンは辛い気持ちでいっぱい。ベンヴォが一貫してかばってくれて本当によかった…。友達…。

終盤のロミオは本当に辛そうで辛そうで。マントヴァでベンヴォーリオを見かけた時の嬉しそうな笑顔が、ほぼ最後だよね。なお金をばらまく時、無表情なロミオの身体中に群衆が群がっているのが、怖くもあり妙に艶かしくも映ります。完全に死に魅いられてしまっている。もう死ぬしかないという一直線具合がひしひしと伝わってきます。ロミオはね、とにかくやることが極端なんだよね!!!(涙)

そしてまた、ベンヴォが伝えたからこそ、ジュリエットの死を疑わず死んでしまったのも苦しい。ストーリーとしてはありえないけれど、霊廟に行く前に神父様に一言相談できる余裕があれば良かったんだけどと思ってしまう。彼は最後毒を飲んで苦しみながら亡くなったけれど、せめて死後は幸せであると良い…。あんまり死は救いエンドって信じられないから好きじゃないけど…。とはいえ、「天使の歌が響く」で目覚めた時安心していそうだったので心が救われました。

「2人の死がヴェローナに和解をもたらしたけれど、それって別に2人が命を懸けて伝えたかったことではなくて、都合良く利用されているのでは?」という感想をTwitterで見ました。確かに…!と思ったんだけど、ロミオは「誰もが自由に愛し合える」と歌っていたので、そういえ世の中に近づいたとしたらまぁあながち間違いではないのかもしれない。ヴェローナが平和な街だったら、この悲劇は起こり得なかったわけだし。

どんな役の礼さんも大好きだけど、少年役もやっぱり絶品で、現役で推すことができて本当に幸せだな…と尊敬の念を新たにした。ほんと、好きなスターさんがトップになってくれるって奇跡だよなと昨今つくづく感じてしまいます。そして本当はフィナーレについても書きたかったんだけど、力尽きたのでA日程の感想で書きます!

 

そもそもロミジュリ自体そこまで好みの話というわけではなく、AB日程もあんまり気にせず観たらまぁこんなことに…。どうして。後日Aの配信も観ましたが、びっくりするくらい雰囲気変わるね!!Aの方が王道というか若干の陽気さを感じました。Bは初見でびっくりさせてきて、やみつきになる感じ。どっちも好きだよ…。

B日程がとにかく刺さってしまったので友人各位に布教したいんですけど、なんということでしょう、もう配信がないんだ…。せおティボルト(とぴーキューシオと愛ちゃんの死とそれからそれから)を皆に観てほしいのに…。というわけで後日円盤発売とか、スカステ放送とか待ってます…心より。なんてったって宝塚のいちばんいいところは、布教がめっちゃしやすいところなんだからね!()あいつもこいつも沼に沈めたいんです!よろしくお願いします!