今日、お日柄もよく

心浮き立つ遊びがしたい

ちえかずとんよ、永遠なれ(マタ・ハリ①6/20マチネ)

いや、あの、正直勝手に期待値低くして観に行ってた公演だったんですね。でも帰りの電車で感想を書き始めました。

私がミュージカルにはまったのは2018年5月の1789再演からなので、ぎりぎりマタ・ハリ初演は間に合いませんでした。なんか和樹さんが評判のいい役やってたみたいだけど観れんかった~、でも暗そうだから観ててもはまんなかったかな…くらいの感覚。その後和樹さんのライブで『普通の人生』、AAAでちえさんとのデュエット『さよなら』を聞いて曲は好きかも…となり、そして今年の再演です。

ストーリーはほぼ知らないけど、たぶんラドゥーよりはアルマンが好きだろうなと思っていたら、今回の和樹さんはまさかのラドゥーのみ。え~悪役じゃん(たぶん)。加藤和樹ファンにあるまじき発言かもしれないんですが、私は彼の演じる悪役より善人が好きなんです!!!歴代キャラベスト5はロナン・ジョー・エリック・明智先生と来て、たぶんここにロビンが続きます(未見)。善人判定はざっくりです。だからどう考えてもアルマン>>>>>>>ラドゥーなんですよ!!!!心情的に絶対アルマンを応援しちゃうんですよ!!!しかし推しはラドゥー!!!!つらい!!!!という勝手な葛藤ゆえに観るのを躊躇しておりました笑

でもご本人もライブで歌うくらいだから思い入れのある公演だろうし、次はまた先になるだろうし、せっかくなのでと初演メンバー(柚希、加藤、東)のチケットを取りました。この組み合わせ本当に少なかったですね。円盤(が出るとして)の方を印象づけたいからかなぁ。f:id:MyPetersburg:20210620210816j:image
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結論から言うと、今回の収穫は完全に東アルマンでした!!!!ほらやっぱりだ!!!結局私はこういうキャラが好き…。

ストーリーについてはTwitterで結構キツめの感想を観たこともあり(任務を放棄して恋愛に耽る人たちの話とかなんとか…)、あんまり期待してなかったんですが、リピートしてもいいかなって思えました!ただ1幕がどうにも乗れなかったので、2幕観終わるまでは外したか…?と怪しんでいた。あと正直、私は石丸さんの演出が合わないのかもしれないとちょっと思ったり。BACKBEATがダメだったんだよな(遠い目)

実は感想書いてる間に2回目をキメてしまい(もうダメだ)、考えが変わった箇所も多いんですが、とりあえず初見の感想も残しておきます。

 

【1幕】
初っぱなからなんなんだけど、マタ・ハリ、男を見る目がだいぶないのでは!?そして思っていたより騙されがち。いや圧倒的にラドゥーしかり男性陣が悪いから彼女だけを責められんのだが、今までよくファンの間で抗争とか起きなかったね?!とにかくスパイが1回きりですむわけないだろ、その男のヤバい目をよく見るんだ!アンナもあんなに止めていたじゃないか~。アルマンもアルマンで、やってることはある意味ラドゥーよりひどいぞ。マタ・ハリは本人が口を滑らせるまで信じていただけに。見抜いて黙ってるのかと思ったけど、普通にショックを受けていたのが意外だった。

ただこれは、マタ・ハリはとにかく百戦錬磨の女性だという固定観念で観ていたからだと思う。観終わった今なら、彼女は別にスパイでもないただのダンサーで、確かになんとか強く生き抜いて来たしいろんな人と浮き名を流してきたけれど、たまたま人生の転換期で出会ってしまったのがアルマンだったんだな…と感じる。

ストーリーに戻ると、ラドゥーの依頼(脅し)はまぁ断れないし、軍部に目をつけられてしまった時点で彼女は詰んでしまっていたのが本当にかわいそう。アンナが言うように逃げられたら良かったのだろうけど…。この時はまだ手玉に取れると思っていたんだろうな。支度をするマタの元にラドゥーがやってきて脅されてからスパイやります、までがさくさく進むから、もう少し何を隠しているのか?を匂わせて欲しかった。

物語が動き出すのは、マタ・ハリが舞台を終えて夜道で酔っぱらいに絡まれるくだりから。スターで人気者だけど、労働者というかその価値を感じない人からすればただの女…という虚しさを描いているのだけど、まぁ絶妙に嫌な気持ちになりますね。

そこにちょっと遠くから声をかけてくるアルマン。おいおいカッコつけて喋ってないで助けてくれよ。いざ助太刀に入ってみるとこれがまぁめちゃめちゃ弱い!!多勢に無勢とはいえ、そこら辺のおじさんたちにボコボコにされていてびっくり。パイロットとは??実は急所をそらしていたとかでもなく!楽屋口?の棒を使って後ろ手にされて蹴られてるのなんか妙にセクシーだったな…。っていうのも全て仕込みだったと後で分かるのですが、私はただただ弱い!!と驚くばかりで全然気づきませんでした。心配されて「もっとひどく殴られたことがあるから」が出てくるあたり、軍隊でしごかれたのか家庭環境が悪かったのか。後々マタと共感していくことを思うと後者かな?手を差しのべながら「アルマン・ジロー」「マタ・ハリ…」「ははっ…知ってる」のやりとりはかわいかったな。

いきなり家に誘ったら、アルマンじゃなくても「サインをもらおうとしたのに、家に誘われてる!」くらいは言っちゃうかもしれないね。でもこの段階では本当にただ庇ってくれて怪我をしたから手当てをしたいだけで、隙あらば男遊びをするみたいなイメージとは違ういい人なんだなということが伝わってくる。ちょっとお姉さん感があっていいな。2人は何歳差くらいの設定なのかな。ちなみにティーツリーオイルが突然グッズにあるの何?と思っていた謎が解けました。

場面は変わり、指令部が遠方の兵士と交信する場面。劣勢に立たされるフランス軍兵士の様子は見ていて痛々しい。あの斜めの岩壁セットで1人でお芝居するの、どんな気持ちなんだろう。通信が途絶えて立ち尽くすラドゥー。超悪役だと思っていたら、戦争の責任をさらに上から詰められていて、なんかかわいそうな中間管理職にも見えてきた。自国の兵士を殺させないために働いてるから悪い人ではないんだけど、そもそも戦争してる時点でなんとも…。そして兵士を消耗させたくないのは自分の武勲のためかとも思うと…。1幕の段階ではマタ・ハリを利用できる!と感じるもののそこまでのめり込んではいないように見えて、これから彼の情緒がえらいことになって誰か死ぬんだろな…と思っていた(大当たり)。

一方朝になっていきなり同衾してる?!と思いきや、寝落ちしたアルマンを見ていただけのマタ。「来た時より自分がいい匂い」とか「明け方までいない?パリの空を見るのが大好きなの(ニュアンス)」「誘ってるの」とか、この一連のシーンはすごく穏やかで優しくて、後から考えると本当にアルマンお前どんな気持ちで…となる。毎朝屋上からパリの街を眺めるマタ、本当に素朴というか、この人が戦争に利用されるのが見ていて辛い。まぁドイツの軍人とかあらゆる人と関係があるからなんとも言えなくはあるんだけど…。でも巻き込まれる必要はないよね。

故郷はリヨンだよとか、今度案内してあげるよとかたわいもない会話をしているうちに、アルマンは徐々にマタに惹かれて行ったのかな?このあたりでは正直任務だと思って接しているところもあるだろうけど、飛行機で飛ぶ瞬間と踊っている時間が同じだねっていう共感はしたんだろうな。個人的には本当にリヨンに来たのが決定打だったように思える。朝日が昇る瞬間のキスはサイレンが鳴って一瞬だったけど、経験豊富×任務の仮面がほろっと取れたのはこれが始まりだったのかなぁ。ところでマタ・ハリは稀代の悪女なのかもしれないんだけど「戦争が終わったらじっとしていたい」とか、感覚はわりと普通の人のように思えて仕方なかった。いやモテテクと言われたらそれまでなんですが…。

結局マタはやむなくスパイを引き受けることに。ラドゥーは丁寧な口調だったのにいきなり豹変するあたりモラハラ男…。こっそり隠れて全てを聞いていたアンナがマタを心配して歌う歌がとても良かった。しかし「逃げなさい」の入りとか地味にめっちゃ難しい曲ではないか…?彼女の存在が、マタの純朴さやいい人さを表しているように思う。みんな好きだと思うけど「大入り満員です!」のくだりは後々本当~~に刺さって辛い!

ベルリンでスパイからペンを受け取るも、そのままラドゥーの元に行かずリヨンへ。ここ、ラドゥーに渡してから行くんじゃだめだったんか?と思ったりしたけど、ラドゥーのせいでパリから自由に行き来できないし、まだマタにはそこまで危機感がないとか、言うことをたやすく聞く人ではないってところを見せたかったのかな。ていうかすぐアルマンに会いたかったのかな。アルマンの前だと髪を下ろしているせいか若々しく見えて、もうこんなに気を許しているのか…。後で「あの人は私なの」みたいなことをアンナに言っていたし、リヨンに行く段階でマタはかなりアルマンを信頼しているよね。身を呈して助けてくれたからなのかな?展開の都合上仕方ないのかもしれないけど、恋に落ちるスピードは早く感じました。

このあたり記憶が曖昧なんだけど、アルマンが酔っぱらいに扮した同僚たちと喋っているとラドゥーが登場。アルマンが任務の報告をするシーンを挟んで、場面はホテルへ。「彼女は私が好意を持っていると疑っていません!」とかわけのわからん報告をしちゃうから、この時点でラドゥーはアルマンのこと相当疑ってるよね。

ホテルではマリオネットの話が印象的。特に言及はされていなかったけど、皆歴史や大きな時勢の渦に捲き込まれて絡め取られて行くんだな、と感じた。ここでマタが自分の隠してきた過去をアルマンに語ります。なんとなく子供がいたのかなとは思っていたのでそこまでは驚かず。でも暴露されたらエキゾチックなダンサーとしての名声が絶たれてしまうから、マタはスパイ行為をせざるを得なかったのかなぁ。マタをぎゅっと抱き締めるアルマンくん、もうこの時点で完全に任務中の顔じゃないよね…。この迂闊もの…!ボーイに扮した刺客に気づいて「素敵!チップを差し上げなくちゃ」と小型ピストルを突きつけるマタがかっこいい。そして悲しいかな今まで危険な目にたくさん会って来たためなのでしょう。アルマンが男を気絶させてから、音が出ないようにハンカチで抑えて頭を撃つシーン、手慣れすぎていて怖かった~。

またしても記憶が曖昧だけど、ラドゥーがイライラ待っているとマタがペンを渡しにやってくる。すぐに来なかったことにたいして「任務中に個人的な用事もくそもあるか!」と声を荒げる気持ちはまぁわからんでもないかな…。でも相手は部下じゃないので…。あなたが脅して利用している市民なので…。

諜報員が来るとのことで下がらされるマタ。入れ替わりにやってきたアルマンだけど「ご機嫌が優れないようですが」とかすごい煽るじゃん…。敢えてなの??そしてお忍びホテルはせめて偽名を使おうよーっ!!!『二人の男』はマタハラーにはたまらない曲みたいなんだが、観た時はそこまで刺さらなかった~。でも2人のデュエットは相性良く感じたな!「彼女が君から離れない」がすごく耳に残ります。アルマンが離さないんじゃなくて、あくまであの女がこっちに来ない、的な?突然マタへの独占欲を爆発させるラドゥー。途中から自分がアルマンの役をやりたくなったのかな。この時点で思いどおりにならないマタにイライラしつつも惹かれてしまってるんですかね…?ラドゥーさんの情緒がいまいちわからない私であった。

そして歌詞とは言え上官相手に結構言いたい放題なアルマン。上司と部下として、どんな関係性だったのかな気になるなぁ。少なくとも対独戦の切り札であるマタ・ハリ接触させるんだから目をかけてるわけではあるのでしょ。

かくてアルマンくんは危険な任務に就かされることとなり、マタに手紙で別れを告げる。このさよなら~の曲はAAAで聞いてとても好きだったのだけど、2幕で本当に別れる時に歌う曲なんだとばかり思ってて、なんかまだそんなに2人の恋を応援できてないから早いね?!となった。お互いどこを好きになったのかもう少し聞かせておくれ!でもピアノのイントロと、手紙を通して気持ちが通い合う演出は、とても私の好みでした。ちえさんととんちゃんは実年齢たぶん10歳以上差があるけど、それをいい意味で感じさせたり、ある意味感じさせなかったりして、きれいにカップルとしてまとまっていた。キャスティングの勝利だ。

1幕は終わりが見えないぞ~と思っていたんだけど、アルマンと部下ピエールの場面、飛行機を組み立てて飛び立つ場面(羽根が回ってたのすごかった)、彼を探しに来たマタが「アルマンと生きていきたい」と決意するシーンで終わりだったはず!ここのメロディーが良かったのでCD欲しいなぁ。歌詞を知りたいなぁ。ピエールがいることで、アルマンもまた責任ある立場というか軍人なんだな…と思わせる大事なキャラなんだけど、あんまり語れてなくてごめんよ…!2人の会話を聞く感じ、アルマンも30歳くらいではあるのかなぁ?

 

【2幕】
わかったぞ、これ圧倒的に2幕がおもしろいやつだ!!曲も2幕のがいい(さよならは除く)。冒頭のちえさんの寺院のダンス、肉体美…とまじまじ見てしまった。特にお腹。これがトップスターの鍛え上げられた腹筋…。マタは他の女性たちと同じく帰ってきた兵士に声をかけるけれど、すげなく立ち去られてしまう。戦争の前では人は無力。でも諦めず、自分でアルマンを探しに行くことを決意するのだった。

そのアルマンは撃墜されたけど生きていて…。まず岩壁を勢い良く転がり落ちてきてびっくり!メイクも相まってかなり痛々しい姿。敵地に1人、生きるか死ぬかの状況なのに「やつはすぐにウソを話すだろう」と頭に浮かぶのはマタのことばかりで、もう完全に任務より大事になっている。ここの乱れた髪型好きだったな~!そして歌い方が絶唱!必ずもう一度会って2人で過ごす…という決意が伝わってくる。敵に見つかってしまうも、もしかしてうまく逃げおおせるのかしらという観客の甘い期待をよそに、殴られて気絶させられるアルマン。長い手足をだらりとさせてずるずる引きずられていくのでした。

一方、ガウンを羽織ってどこかに電話をかけるラドゥー。え、家でサスペンダー?!いやかっこいいから許す!(たぶん)深夜もかっちりスタイル!これがTwitterで見たおうちラドゥーってヤツか?!謎ガウンも悪くないけど、薄手のシャツの七分袖と筋肉がすげ~~えっち(正直に脳裏に浮かんだ単語)!!観ている時頭の後ろあたりがじわっと熱くなるように感じて、いい場面もらってるな~と思いました。基本アルマン贔屓の私だけど、この瞬間はラドゥーさんのことしか考えられませんでしたね…!!!生で観る破壊力がすごい。皆に観て欲しい。

電話口でも相変わらず上に詰められている様子。切ったあとため息もついてたような。パンフレットを読んではじめてわかったけど、あの序盤絡んでいたおじさまは首相で、緑のドレスの女性はその娘にしてラドゥーの奥さんなんですね!全然気づかなかったよ。愛人かしらくらいに思っていたよ。いや深夜に家にいたら奥さんか。だったら名前くらい呼んだれや!!

そこにコートを着こんだマタがやってきます。ファーがエレガント。「こんな遅くに」とか言いつつ若干嬉しげなラドゥーに対して、マタは「パイロットを探しているの、アルマン・ジロー」。ハイもう察してしまいましたね!部下に彼女を完全に取られたことをね!だからほんと、なんでマタを好きになっちゃったのか聞かせて欲しい。紳士的を装いつつ、「どんな関係?」とか根掘り葉掘り聞こうとするところ本当に良くないよ!あととにかくアルマンが迂闊だよ!!

ソファーへとマタを誘導して、ベルリンにいると教えて、「明日食事でも」とか見え見えの誘いをかけて断られるやいきなり豹変!ソファーに押し倒さんばかりに迫る!いや押し倒してたわ。やおらガウンを脱いでシャツをボタンを外すのはいけません!!!いけませんよ大佐!!!と全く冷静に観れませんでした笑 いつもピシッとしたお髪が勢いではらりとほどけるのもあって本当に色気が…すごいです…。

ここで歌うのはスーパー下心全開ソングなんだけど声がいいんだよね…。ブリリアの音響は正直悪いなと思ったけど、和樹さんは低音がビシッと決まるからか、すごく声が通ってかっこいいんですよ。この場面になって、初めて本人に向けてマタへの思いがどろどろと溢れ出しているんだけど、彼女はアルマンのことしか考えていないからものすごい温度差で。今までだって好きでもない男と過ごした時はあるのかなって思うけど、この状況でラドゥーを受け入れるのは余計嫌だったんじゃないかな。

ちなみに、マタに逃げられたあと奥さんに言い訳する姿が非常にみっともなかったです笑 しかし、作中でラドゥーさんはなんにも手に入れられないね…。マタとの恋愛面では最後まで土俵にも上がれてないからね…。

この後マタは楽屋でアンナと会話して(アンナは本当にいい人)、駅で検閲に引っ掛かりそうになりながらも一路ドイツを目指します。駅員怖かったー。

さて、ベルリンの病院にマタが来てしまうシーン。私が一番好きな場面です。シスターにためらいなく「妻です!」っていうもんだからこっちがドキドキしてしまうよ。マタが頬にそっと手をあてて、アルマンが身じろぎしてから目覚めたときの驚いた顔がとてもとても良かった…。一瞬ぱっと喜びが走るけど、口をついで出てくるのは「どうしてここに?!」。でもどうしようもない嬉しさが体からにじんでいる。この密着してるなかむつまじい感じも、下から見上げる感じも、怪我して弱ってる感じもいいよねぇ…!だからこそ、直後失言から裏切りが発覚するのが辛くて!いや完全にアルマンが悪いのだけど!

ラドゥーの名前が出てきたことで完全に固まるマタ。取り返しがつかないことを言ってしまったと焦るアルマン。ラドゥーは2人の関係に気づいていながら、いずれボロが出ると思って敢えて言わなかったのかな~。そうしたら彼女からこっちに来ると思ったのかな?だとしたら怖い…!

「僕が君を傷つけるかと思うか?!」いや思うわ!!!進行形で信頼を裏切りまくっている!!!!ここはもう本当にアルマンが悪い。「私の人生の教訓。説明させてくれと言う時、人は嘘をつく!」は正解すぎて。いやマタも結構勢いでベルリンに来てるよね~とは思うんですが、あんなラブラブな手紙なんか書いたら、この人の行動力なら来てしまうよねぇ。いやしかし、本当にもう少し順を追ってちゃんと話し合えていたら…。

マタは、いやマルガレッタは、今までの人生でさんざんな目にあってきて、今度こそ見つけた真実の愛だと思っていただけに、彼女からしたらショックなのは当然。でもあんなに思いあってたんだから聞いてやってよとも思ってしまう。アルマンが「愛し合った真実、それだけをなぜ信じてくれない」「あの朝に観た2人の夢」とか言ってるところは本当なんだよ!

「マルガレッタ、聞いてくれ!」と必死にマタの腕をつかむも、彼女は去ってしまう。怪我してて痛いはずなのに、なんとか離したくない様に強い思いを感じた。崩れ落ちるアルマン。ここ好きだったな…。しかしなぜか腕の添え木が強く印象に残っているな…。せっかく奇跡的にアルマンが生きていて、なんとかベルリンに来れて再会できたのに、ひどい形で別れることになってしまった2人。だって、この後再会するのあのシーンでしょ、辛い!後から感想を書くのしんどい。

この後ラドゥー、マタ、アルマンが三重奏で歌う「あなたなしでは」とてもとても良かった。すごくきれいなハーモニー。それにしても、ベッドの上であんなに声量があるとんちゃんすごい…。

フランスのスパイなら、わざと偽情報を漏らして彼女をフランスで逮捕させよう。ヴォン・ビッシングの仕掛けた罠にまんまと首相は引っかかり、ラドゥーはマタ・ハリを逮捕せざるを得なくなってしまう。ここ、外しまくりのラドゥーさんにしては的確に相手の意図をついているのに、そういう時はうまく行かないのね~!そして己の政治生命と天秤にかけたらマタ・ハリを選んだりもできないよね~!!突然ゴスペル的なメロディーを背負って苦悩し始めるのは、板挟みでちょっとだけかわいそうかな。

裁判のシーン。池袋×冤罪は某南部が舞台の演目を思い出して胃がキリキリする。こちらも群衆はマタを大声で罵るのだった。白いロープが壁になる演出はよかった。隙間から目だけ見えるのが監視されてるみたいで怖い。

完全にちえさんにロックオンしてたから、「よくもそんな嘘がつけるな!」「アルマン!」で本当にびっくりした。うおお来たー!やったー!これぞ主人公の恋人にふさわしい行動!きっとマタ・ハリが逮捕されて裁判にかかると聞いて、じっとしてられなかったんだね…!!しかしどうやってベルリンを脱走してきたんか?そういえばタバコ吸った後おもむろに走り出して、おい!って追われてましたね…。

「こいつの言うことを信じるな!」からの『2人の男』リプライズ。かつての上官に銃を向け、もう完全に裏切り者ですよね。勝算があるのかもわからない。単独行動だろうし、正直ほぼ逃げおおせる見込みもないだろう。後がないからこそ、そしてきっと後の事は考えずに動いてしまったからこそ、彼はもう何も怖くなかったのでしょう。とにかく彼女を守るという必死さが最高!!

いやーやっぱりかずとんの声の相性のよさはちょっとなかなかないのでは??ちえかずとんは、本当に誰と誰を組み合わせてもおいしいですね!!!揉み合う2人。響く銃声。よろよろとラドゥーが倒れるも…撃たれたのはアルマンだった。悲鳴をあげて駆け寄るマタ。このショックの受けっぷりからして、ラドゥー、さては上層部故に直接人を殺したことがないのかな…?

設定的に死んじゃうかもと思いつつ観ていたけど、実際目の前で死んでしまうとかなりショックだった。アルマンとしては結局マタを救えず、結果自分も死んでしまったわけだけれど、すれ違ったままより良かったかもしれないね…。最後に愛してるって言えたしね…。一切の嘘がない状態で、まっさらな気持ちで2人が「愛してる」って言い合えたのはここだけっていうのが切ない!!!死に顔がきれいできれいで。マタが抱き締める姿をガン見していたもんだから、2階で歌ってるラドゥーさんにはほぼ注目できず。ごめんね和樹さん…。
私の想像では、処刑が決まる→アルマンがなんとかしようと(部屋とかに)助けに来る→そこにラドゥが来る→揉み合い→アルマンが打たれて死ぬもしくはラドゥを殺す。でもマタは逃げず処刑エンド、でした。うん、全然違ったな!

最後は処刑後空のシーンになったから、宝塚みたいに天国でデュエットダンス?!と思ったけど、それはなかったですね。でもマタが誰かを見かけて微笑んでいたから、再会できたのかな…。そう思いたいな。

 

1回目のカテコで最後3人がセンターに残った時、ラドゥーが2人に手を差しのべて、マタはアルマンと一緒にはけててほっとした~!だって、役の大きさ的にはラドゥーのが上なんだもんね?正直内容としてはアルマンが上でいいんじゃないかとも思っちゃうからここは不思議だった。そして、幕が降りるまでのメイン3人が三者三様で面白かった!

・かたくなにカテコで手を振らない加藤和樹(かわりにお辞儀をする)
・片手を振るちえさん
・両手をちょこちょこふるとんちゃん

キャラが出ていますね!

 

【メインキャラクター別感想】

マタ・ハリ(柚希礼音)

開幕直後の片足立ちからの足をつかんで180度開脚が微動だにしなくて、かっこよくて震えた。ちえさんはAAAでしか観たことがなく、ミュージカルでは初見。今日は声の調子が悪そうだったけれど、地声が低いのもマタ・ハリには似合っていた。最後の「…素敵!」が万感の思いがこもっていてとにかく良かった!

女性に嫌われそうな(作中では特に)キャラクターかもなんだけど、私はかなり好きだった。たぶん、女をそこまで売りにしてる感じがしなかったからかなぁ。確かにいろんな人といちゃついてたし、売春婦でヌードモデルだったけど。寺院の踊りについて「あんたたちみたいな男から私を守ってくれたのよ!」と叫んだ辺りからも、好きで男と過ごしてきた訳じゃない感じが伝わってきた気がする。若くて強気というより、酸いも甘いも噛み分けて自分の意思で動くタイプ(byアルマン)だったな。時に愚かさも愛しく見えるというか…。凄みと純真さが同居していて、当たり役って言われているのも頷けるな。

アンナとは同士であり、アンナが年上にもマタが年上にも見えて不思議だった。そしてちえとんは歳の差カップルとして想像以上の相性の良さで、思わずリピしてしまった!総じて、マタ・ハリはいろんな年齢の役者がやって楽しめるいい役なんじゃないかなぁと思いました。

・ラドゥー(加藤和樹)

マタ・ハリを利用してやると思いつつ惹かれてるのはわかるんだけど、やっぱり自分かわいさにあっさり売るから絶対に相手役にはなれんのよ。2番手でしかないのよ(2番手ではないです)彼もまた戦争に翻弄された小さな人間ではあるんだけど。要職についてそうだししばらく生きてそうだけど、ろくな死に方しないんだろうな…。

というわけでキャラクター的にはそこまではまらなかったものの、やっぱり和樹さんが演じると魅力的でした。サスペンダー×まくったシャツはセクシーすぎる。正直マタのどこに惚れたのかいまいち良くわからず、シンプルに美貌がタイプで、強気な性格を屈服させたかったんだろうか…?「俺の言うことを聞かないとは…フン、おもしれー女」からのスタートなのかなとか、意外とアルマンとくっついたのが想定外で面白くなかったのかなとかいろいろ考えました。あいつに惚れるなら俺でいいだろみたいな?わりとTLではアルマンとの関係性を考察してた人が多かった気がするので、マタの恋人役にあてがおうとした理由をぜひ教えてほしいところ。

・アルマン・ジロー(東啓介)

ツボですああ~~めっちゃツボ!!!ある意味愛に絡め取られて死んだ人と言い捨てることもできると思うし、ハニートラップ(ではないが)を仕掛けてる時点で誠実な恋人とは全く言えないんですがね!!!そもそも任務には失敗して左遷されてるんだけどね!軍人としてはぽんこつなのか…?利用するために近づいて本気で惚れてしまい、彼女を守るために命を落とすなんてそんなベタな、いやベタでもいい!好きだ!東アルマンを観られてよかった!

ベルリンの病院で目覚めてからと、裁判に駆けつけるところが特に好きです。思い詰めた表情が特に良い!!歌も相当うまいけど、お芝居上手ですねぇ!!

演じるとんちゃんは25ちゃいですが、作中での年齢がわかんなかったな~。若そうなピエールを諭したりしてるし、結構年上?だとしたらマタともそこまで差はないのかな?どーしても年齢が気になってしまって良くないな…。

この記事とても良かった!

インザハイツのベニーを観たときもいいね~とは思ってたんだけど、こんなに好きになるとは思いませんでした。やっぱりたくさん観るものだ!

お習字を皆に配っている…?と思ったら特技なんですね!署名がとん。なのかわいいな!おい!

 

とにかくこんなにハマる予定はなかったのに、結局3回観ました。悔いなしです。ありがとうリピチケ!ちなみに全部とんアルマン回です。いったいお前は誰のオタクをしているんだ!せっかくだし残り2回の感想もコツコツ書いていこうと思います。頼む梅芸!円盤を出してくれ~っ!!!!