今日、お日柄もよく

心浮き立つ遊びがしたい

大人をやっていくということ(ハリー・ポッターと呪いの子)

今年一(?)の話題作、呪いの子を観てきましたーー!!

率直にすごくおもしろかった!舞台機構や「魔法」の演出はもちろんのこと、ストーリーが「大人気作の続編」としてものすごくできが良く、戯曲で顛末を全部知っていたのにまるで初見かのように楽しめました。

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今回はSS席での観劇でした。オペラ要らずで楽しかった~!まさかのプールとか、迫力満点のディメンターとか舞台機構も楽しかったし、かなりアナログに魔法の表現がされていたけど、無理矢理に見えなくてとても自然に魔法として受け入れられて良かったなー!

 

子世代が主役なのにやたらとハリー推しな宣伝だよなーまあアピールするには仕方ないけどさ~などとやや苦々しく感じていたのですが、観た後改めて考えるとあながち間違ってはないのかも…と思ったり。親たちに振り回される子供たちの物語であることは間違いないのですが、私はかなりハリー・ポッターの成長譚という印象を受けました。ごめんよアルバス!スコーピウス!

序盤のハリーはもう本当にダメな親で、ことごとく息子のポイントを外しまくるわ視野がクソ狭いわなぜか高圧的な方向に振りきれるわと、かつての君はどこに行っちまったんだい!と言わざるを得ない感じ。そのボロい毛布もらっても別に嬉しくないよな!わかるで!とアルバスに同情しかなかったのだけど、後半の「ロールモデルがいなくて、手探りで親をやっている」という境遇が出てきてから、確かに…と妙に納得してしまったのでした。

ハリーって相当な巻き込まれ体質だし、すごいスピードで成長しないといけなかった分、内面は成熟しきれていなかったんだなぁ。ていうか冷静に考えるとトラウマでどうにかなりそうな人生過ぎて、そりゃなかなか払拭できないよなー。もちろん全然全肯定はできないし、37歳3児の父にもなってアンタ…と呆れるところ多々なんですが。

「若い頃は聡明・ステキ・カッコよかったのに、成長したらダメなやつになってしまった」キャラクターってなかなか難しい問題だと思っていて。うまく行かないのが人生だし、リアリティがないとそれはそれで文句をつけたくもなるものだけど、ダメさ具合の描かれ方次第では、前作への思いが醒めてしまうことって往々にしてあることだと思います。某・超大作全9章銀河超能力冒険映画とかね…ほんと親世代になったかつての主人公たちの衰え方ったらなかったね…でもハリポタの場合は、その問題をうまくクリアしていたかと。

なぜならハリーは確かに問題を抱えているけれど、最終的にきちんと問題を受け止めて解決へと向かっていけるので…普通だったらこのロクデナシ!と切り捨てそうなところ、「あの(いろいろあって大変だった)ハリー・ポッター」という小説・映画による丁寧な積み重ねがあるので、観客もかつての彼を思い出して応援することができる。ちゃんと大人になって、変わっていくけれど変わらないところも見せてもらえるのがよかったな~。なんといっても、すべてを変えることができる「あの日」に、敢えて何もしないことができる(ほんとにロンの言う通り)精神の強さと、裏腹に崩れ落ちて泣く繊細さがああ、ハリー・ポッターだなぁ…と。私そこまでハリーに思い入れはない人間のつもりだったけど、結構好きなのかもしれないな!?

とまぁ、そんなハリーが最終的に息子に本音をさらけ出せるようになって、でも裏では「一緒に歩いて仲を深めようってことだろ?」「うげ~っ!」とか言われてる(もちろん愛はあるけど)のもリアルだし、急激に全てがよくなるのではなくて、ここから少しずつ良くなっていくんだよ、一緒に良くしていこうね、という終わり方がとても好きでした。

藤原竜也ハリーはお前絶対スリザリンやろ!!!(正直ハリーのキャスト3人ともスリザリン感がすごい)という第一印象を覆して、疲れきってて神経質で思い込みが激しくてめちゃくちゃズレてて不器用だけど、でも正しいことがしたくてがんばるハリーでした。「お前には得意なことがいっぱいあるぞ!!⤴️」のテンパり具合とか、いっそ愛おしさすら感じさせた。まじでジニーがいてくれてよかったね。

馬渕ジニーは原作からまんま大きくなった感じですごいカッコよかったね。ハリーとドラコを黙らせるシーンとか好きでした。卑下しがちなハリーに「あなたは誰のためにも、なんでもする人よ」というセリフを言ってくれてありがとう…さすが理解者…

話は変わりますが私は児童文学界隈で男女カプを見つけては萌え転がっているタイプのオタクなので、当然のことながらロン×ハーマイオニーは正義で至高で唯一無二なんですよね。特に原作の細かい描写にニヤニヤしていたので、映画で微妙に改変されたシーンとかには結構思うところがあったり(ロンはもっと気が利いてるし、ハーマイオニーのためにカッコよくなれる!ハーマイオニーももっと人間くさいところがある!)していたのですが、呪いの子は紛れもなく原作のロンハーが、そのまま大人になったな~!って感じでとっても嬉しかった!やっぱり児童文学でメディアミックス化してここまで成功したのってハリポタくらいしかない気がするから、後続作品たちも頑張ってほしいんだぜ…!!!!!

かわいいよね…ワーナー公式のまとめなんだぜ…

一時期ネット上に謎の破局説が流れて許さんぞと思っていたのですが、呪いの子では幾度世界が変わっても、どの世界線でも惹かれあってて、完全に運命じゃんと大満足でした。ツンデレ同士のケンカップルなどという簡単な言葉では言い表せないほど、二人は人間性の相性がいいのよ…ロンはハーマイオニーの優秀さを誰よりも誇らしく思って愛してるし、ハーマイオニーはロンのユーモアを愛している。

特に好きだったのは「離婚したいってこと!?」からの「結婚のリニューアルをしよう」からの「もう一度私と結婚したいの?」からのキス。そして飛び込んできたハリーのうわーみたいな反応笑 ロンハーのいちゃつきを見る時のやけに冷めてるハリーの反応、地味に好きです。別の世界線の二人だけど、逃げてって言われたロンがここにいたいって返すところも最高。スコーピウスのために自分たちが犠牲になることを瞬時に判断して、一緒に吸魂鬼に立ち向かうシーンは泣けた…

私が観た回は中別府ハーマイオニーと堅山ロンだったんだけど2人とも超良かったな。敢えて身長差の少ないキャスティングだったのかな?凸凹カップル感に萌えました。あとロンがドラコに敵意むき出しで威嚇してるときに「あなたの妻はあなたに戦っていただく必要はないわ」みたいに言うのも好き。時代にあっている。

大人キャストでいえばドラコ~!正直原作を読んでいるときは全然思い入れなかったけど、なんかいい感じに成長したね…彼をここまで変えたアストリアさんのことももっと知りたかった気はする。あとスコーピウスがとても懐いているのでハリーより子育てうまい説はあるけど、世の中を避けて3人で絆を育めたからだろうから、一概に比較しちゃいけないかな?みんな好きだろうけど「私はハーマイオニー・グレンジャーに指揮されることを楽しんでいる…フフ…」みたいなセリフいいよね!

あと嘆きのマートルの美山加恋ちゃんがやたらと再現度高くて驚いたり、マクゴナガル先生とアンブリッジ(先生はつけるまい…)が同じ高橋ひとみさんでこれまた驚いたり、原作ファンにはにやりとできるポイントが多かった!なお、ぶっちゃけ一番印象的だったのはホグワーツ特急の販売員の魔女です!あれはずるい!面白すぎるでしょ!!役者さんが「どうしてもやりたくてオーディションを受けた」というのもむべなるかな。

そして忘れてはいけないのにちょっと忘れてたセドリック!直接の登場場面は少ないけど、その短い出番でも善良さが伝わってきて、だからこそ死んじゃうのがかわいそうで、彼がいてこのお話ができたんだよね、と。自分がハリポタ続編を作るとして、彼をクローズアップするかというと全然思い付かないだろうから、すごいなぁ。ハリー・ポッターって結構なハイペースでキャラが亡くなりがちだからこそ、改めてその悲しみや喪失感に立ち返るのは良いと思った。

よし、ようやく子世代の話ができるぞ…アルバス役の藤田悠さんとスコーピウス役の斉藤莉生さんは、これでメジャーデビューだと!?という安定感のある仕上がり。すごいなぁ~。

藤田アルバスは劣等生だからコンプレックスもりもりで陰キャ街道をひた走っていたけど、これ成績が良かったら絶対陽キャだったでしょという素養を感じた。結構勢いで物事を進めがちで、中盤かなりスコピに対してめちゃくちゃ言うじゃないの君!と観客のヘイトを集めがちな気が。あんなに嫌っているのに、キレ方がハリーとそっくりだよ!でも悩んでいること自体は親の威光がすごすぎて自分がかすんでしまうという等身大のキャラクターなのでギリ許せるかな。弩級のやらかしをしてはいるが、人間ストレスたまりすぎると何するかわかんないよ~というリアルさがあった。

そして何より、あのファーストコンタクトでスコーピウスを友達に選ぶところが圧倒的主人公。「お葬式に来て」「もちろん」の即答具合が好き。スコーピウスにも文字通り命を懸けて復活させようとしてもらえているので、二人の友情は本当に尊いよ…スコーピウスを巻き込んで「君がいたから失敗したんだ!」とまで言っておきながら、最後に「君はおなかの底からやさしい、君みたいな子供はヴォルデモートには持てない」「君がいないと僕はうまくできない」って直球で謝れるところは素晴らしい。毛布にシミをつけるアイディアもかなり天才的だし、やっぱり主人公属性だわ。

最後ハリーに「スコーピウスは、僕の人生で多分ずっと一番大事な人だ」と言うのもいいし、ハリーが「それはとても大事なことだ」と返すのもいい。ここは深読みしてもしなくてもいいんだろうけど、元祖アルバスに対する匂わせかな?と思いました。デルフィーのことが初恋的に好きだったのは間違いないだろうし、もしかしたらバイセクシュアルなのかしらなどと思ったり。

逆に斉藤スコーピウスはどうあがいても陰キャ。あの謎ギャグとしゃべり方では友達がなかなかできるまい…でも本当に性格が良くて優しくて、もうすごく応援したくなってしまう。普通あんなに避けられたりむちゃくちゃ言われたら、100年の友情も覚めるってもんだけど、アルバスのことが本当に大事なんだよね。だって唯一の友達だから!「あの日」に再会したドラコに不器用に抱き着いてるあたり、素直でいい子だあ~。きっと3人で暮らしていた時幸せだったんだろうな。逆転時計を隠したと見せかけて破壊しようとする聡明さも持ち合わせていて、ローズ、好きにはならなくていいからなんとか友達にはなってやっておくれよ…アプローチは激しく間違ってるから無理もないけど…てかなんでそんなにローズが好きなの?笑 元気で明るくてパワフルなところに惹かれるのかな。

さて、そんなローズがメイン3人に入っちゃうと完全に親世代の再現になっちゃうからだろうけど、結構しどころのない役になっちゃってて、もう少し何とかならなかったのかな…もう少し好きになりたかった…ヒューゴに関してはほぼ存在してないし。ジェームズとリリーにも言えることだけど。

代わりに仲間ポジションに入ったのがデルフィーヌことデルフィー。実はヴォルデモートに娘がいたのです!という設定自体は意外性があっておもろいなーと思った!豹変具合もいい感じだったし。しかし、名だたるキャラたちを一人で相手取らないといけないから、パワーがないとダメなんだろうな。演じるの大変そう…回数重ねるごとにさらにこなれていくんだろうな!

呪いの子って最初はスコーピウスと見せかけてデルフィーのことなのかなと思ってたんだけど、誰のことかは明示されてない…ですよね?なんならハリー自身のことなのかもと思ったりしたり。

 

劇団四季以外で無期限ロングランってのがあんまりピンと来てないんだけど、今後メインキャストの追加とかもされたりするのかな~?石丸幹二がほかのミュージカルに出ないわけがないし、パレード再演してほしいし…

この浦井健治がマジで匂わせだったら笑ってしまうが、まあさすがにないですよね。

そして最近知ったけど、ホリプロステージのnoteでは舞台写真を提供してたり裏話が読めて面白い!フォロワー数を見て、もっと宣伝しなよと思った笑 ハリポタもそのうち来るのかなー。

有名作がいつでもやっているっていうのは新規のお客さんのためにも素晴らしいことだと思うから、うまく続けられたらいいな~!他の組み合わせでも観てみたいから、もう何回か観にいくぞー!